今回の名曲コンサートでは、大阪シンフォニカーの首席チェリストでもある野村さんがオーケストラの一員としてではなく、ソリストとしてどのような演奏を披露してくれるのかが気になるところでした。舞台での演奏を見ている分には彼の音楽の勢いや繊細な音の表現を心がけている様子が伝わって来るのですが、その音楽の流れの変化が音として十分に伝わって来なかったのが残念でした。
やはりフェスティバルホールの構造上、低弦がオーケストラをバックに演奏するのは聴く側にとっては少し無理があるような気がします。しかしそんな状況の中でも、スラブ独特の熱いものやアメリカ民謡の哀愁帯びたメロディーを彼の表情、音の間(ま)のとり方、ビブラートのかけ方によって感じることが出来ました。
後半のカルメン。カルメンはとても美しく雑無く歌い上げられていましたが、もう少しジプシーの女の怪しさや色気があっても良かったのではないでしょうか。第2幕のトレアドールでのバリトン田中さんのしんのある声はエスカミーリョにぴったりだったと思います。聞き惚れてしまいました。もう少し伴奏の刻
みのテンポを落ち着かせて、エスカミーリョのどっしりと地に着いた歌声を楽しんでみたい気もしました。
第3幕のミカエラのアリア、素晴らしかったです。ソフトタッチな歌い上げも心地良く、オーケストラがもう少し彼女の表現の細部にまで一緒について行ってあげられれば、さらに素晴らしかったでしょうね。第4幕まで聴いて気付いたのは、前半合唱パート内でのばらつきが気になりましたが、演奏を進めるに従い、徐々に合唱とオーケストラが一体となっていくのを感じました。
さすが大阪シンフォニカー専属の合唱団ですね。ソリストのそれぞれ個性的な歌声を楽しませていただきました。でも、やはりカルメンは抜粋ではなく本当のオペラを聴く方がいいですね。今後の大阪シンフォニカーの成長、とても楽しみです。
真行寺 桜子さん