重盛牧夫さん
音楽監督として曽我氏のデビューとなるコンサート、昨年のシンフォニカー初登場は聴き逃したため、時期的には少し遅くなったニューイヤーコンサートであるが、初めて接する氏のタクト捌きが楽しみである。
曲目は一度は聴いたことのあるシュトラウスファミリーの定番ばかりだったので、氏のアプローチの片鱗がよくわかる演奏会だったといえる。ウィーン在住とのことであるが、あのウィンナワルツの独特のテンポは体に染み付いたものだろうか、冒頭の「こうもり」のワルツなど、本当にうっとりさせるものがある。また、ピツィカートポルカのアンサンブルも素晴らしい。折に触れ、アンコール等で演奏されることが多いが、各パートが見事に合っていて、久々にすっきりしたピツィカートポルカに出会った思いがする。ダイナミクスの変化にはまだ慎重な感じが残っており、フォルテでは全体に抑え気味だったものの、全体的にやや早めのテンポ設定は、氏の特徴かもしれないが、既にシンフォニカーの特性を充分に掴んでいるように感じる。
写真で見るとかなり若いという印象だが、ステージ度胸はお見事。タクト捌きには独特のものがあるが、見ていても非常にわかりやすく好ましい。演奏もしやすいのではないかと感じる。コントラバスを弾きながらの指揮や、「ドナウ」でのスピーチ、最後の「ラデッキー」での終わり方等、抜群のエンターテイナーぶりを発揮していた。
六車さんの声は本当に美しく、力強い。スリムな体型のどこに、あれほどのパワーが潜んでいるのかといつも驚かされる。「春の声」の素晴らしいこと、文句なしである。後半のオペレッタからのアリアではニュアンスもたっぷりで、あの楽しい「こうもり」の舞台を彷彿とさせる歌唱だった。
曽我氏とシンフォニカーの間には、まだ完璧なコンビネーションはでき上がっていないようだが、それも時間の問題で、氏とシンフォニカーの間には抜群の相性の良さが生まれるのではないかと感じさせる、音楽監督デビューであった。