第75回定期演奏会
指揮   : 曽我大介(音楽監督・常任指揮者)
ソリスト : アレキサンダー・ガブリリュク
       (ウクライナ)
        浜松国際ピアノコンクール優勝者
        (アクトシティー浜松主催)  
曲目   :
ワーグナー:「リエンツィ」序曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調 KV488
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
 この日のプログラムの統一テーマは「ドイツ人から見たイタリア・イタリア人から見たドイツ」とのこと。そして、演奏内容はスピードとパワーをシンプルに追求するセリエAの激辛ガチンコサッカーを思わせるものだった。普段はシックで練れた表現を聴かせる曽我が、気力むき出しの突進でスリリングなコンサートを聴かせてくれた。
 もっとも大きな拍手を受けたのはモーツァルトの協奏曲23番に続くアンコールで、超絶テクを披露したピアノのアレクサンダー・ガブリリュク。メンデルスゾーン「結婚行進曲」などをホロピッツ編曲のバージョンで弾いたが、強烈かつ正確なのはもちろん、音の透明度、構成力なども非凡。ACミランのFWシェフチェンコを思わせる突破力で、やりたい放題の世界を展開していた。さすが同じウクライナ人!協奏曲も、切れ味と透明感豊か。ただし2楽章の木管のソロには、ピアノと張り合うくらいの色気がほしかった。バランス良く普通に推移したのはもったいない。
 メンデルスゾーン「イタリア」は普通の演奏だと心地いいだけで、なんとなく聞き流してしまうタイプの曲だが、曽我の表現は速いテンポと強いメリハリで、やっぱり辛口。75%くらいのボール支配と強力3トップで攻めまくる!という感じだ。3楽章のホルン、フルートも好演だった。
 個人的に一番ワクワクできたのは、冒頭の「リエンツィ」序曲。内声部が充実しているせいか、音量バランスが絶妙なのか、個々の士気が高いせいか、響きに独特のうねりと高揚感がある。クライマックスに向け、あおるようにテンポを上げる演出も見事で、「こんなにカッコイイ曲だったのか」と得した気分だ。指揮者と作品そのものの新たな面を楽しませてもらった。トランペットのソロも中盤以降よくなった。 (座頭 市太郎)
楽曲解説
RETURN批評TOPHOME