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指揮:曽我 大介
ヴァイオリン:ヨハネス・レーアタワー(Q&Aはこちら) 元アムステルダム・バロックオーケストラコンサートマスター モーツアルト:ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216 モーツアルト:弦楽五重奏曲第4番ト短調 K.516より第1楽章 ハイドン:交響曲第93番ニ長調 Hob.I−93 |
まずプログラム構成に「おや?」と思わせる意外性がありました。最初にハイドンの交響曲第93番ニ長調の第1楽章だけを演奏し、次はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番ト長調。そして休憩を挟んで、後半はモーツァルトの弦楽五重奏曲第4番ト短調の第1楽章だけ、最後にハイドンの93番の残り3楽章という具合ですが、指揮者の曽我大介氏自身の解説によると、18世紀の後半、ハイドンやモーツァルトが活躍した当時は、こんな演奏会が普通だったようです。
いまは古楽器による古典派の演奏が大きな流れになっていますが、曽我氏としては、楽器の響きよりも当時の演奏形式を取り入れることにより、現代の聴衆に新鮮な感じを持ってもらおうとしたのでしょう。その試みが効を奏したかどうか、俄かには判断つきませんが、初めての“体験”だっただけに、多少の違和感はありました。
このハイドンの93番はあまり有名でない曲と思います(少なくとも私は知りませんでした)。そこで演奏会の前にCDで何回か聴いておきました。ハイドンらしく、きびきびとした、構成感のある曲です。
交響曲というのは、どうしても1楽章から終楽章まで続けて聴くものだという強い固定観念に縛られていますから、楽章を切り離されると印象が分散してしまって、その曲の全体の感じが掴めなくなってしまいます。でも今回は、とにかく初めての試みなので、1回だけの体験ではなじむのは無理でしょう。何回かこういう演奏を体験してみたら、案外違和感は消えるかも知れません。曽我氏の、そういう奇抜でも斬新な試みに挑戦するという積極姿勢にむしろ共感を覚えます。
この曲の演奏自体は、適切なテンポで、しかもハイドンらしい溌剌とした構成をうまく再現していて、良かったです。席が前のほうだったので、ヴァイオリンの直接音がよく聞こえた割には、管の響きが後ろのほうから聞こえるなど、弦と管のアンサンブルが少しもの足りなかったのが残念でした。恐らく真ん中の列から後ろのほうだったら、もっと全体のアンサンブルがよく聞こえたでしょう。全体としては、ハイドンの特徴を上手く引き出した良い演奏だったと思います。
次にレーアタワー氏を独奏者に招いての、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲ですが、全体としてやや遅めのテンポ設定ながら、独奏ヴァイオリンの柔らかい響きが非常に印象的で、久し振りに味わいのあるヴァイオリン協奏曲を聴けたという感じです。レーアタワー氏が192センチもの長身なのに、意外に柔らかい響きを奏でるのには驚きでした。よほど繊細な神経をもっているのでしょう。
最後にモーツァルトの弦楽五重奏曲第4番ですが、これはややアンサンブルに乱れを感じたのは私だけでしょうか? 恐らく5人揃っての練習がほとんど出来ていなかったのでは、と推察しますが、とくに前のほうで聴いていると、ほんの少しですがバラツいている感じを拭えませんでした。でも曲自体が非常に表現の難しいものですから、1楽章だけでは何とも言えないのも事実です。このため全楽章を演奏しないという今回の試みは、公演の時間の関係もあっの
かも知れませんが、やや未消化感が残って残念でした。やはり全曲通して聴いてみたい気がします。
でも直前のヴァイオリン協奏曲との明暗の差が余りにも激しいですので、プログラムの選曲自体にも難があったかも知れません。ただ、この五重奏曲でも、第1ヴァイオリンのレーアタワー氏はしっかりと弾いて全体を支えていたのはさすがでした。
以上ですが、プログラム全体の感想としては、とにかく新しい試みを取り入れて、現代の聴衆に少しでも新鮮な感じを与えようとの曽我氏の意欲は積極的に評価したいと思います。今後もますます、こうした新鮮な刺激を与え続けていただくよう願いたいと思います。
安東知保さん
第1回いずみホール定期 5月9日(木)の感想
はじめまして
大好きなハイドンやモーツァルトがメインの演奏会すばらしかったので、感想など書かせていただきます。
ゴールデンウィークにインターネットでシンフォニカーがハイドンの交響曲を演奏するというのを知りました。「プロの交響楽団は、ハイドンをメインにした演奏会をしてくれないなあ。」とずっと思っていたところに今回の企画は嬉しい限りです。当日いずみホールに電話を入れてみると、「当日券があります。」とのこと。仕事の都合をつけて何とか会場に着き、当日券で入場しました。
演奏会が始まると、最初に曽我氏のトークがあり、びっくりしました。最近は、こんなこともしているんですね。指揮もしなければならないし大変だなあなんて思っているうちにいよいよ一曲目です。93番の1楽章だけの演奏が先にあり、途中、コンチェルトや室内楽をはさんで、最後に2,3,4楽章を演奏するのが今回の企画だそうです。ハイドンの時代は、このような演奏会が多かったとの話も先にありました。
さて、1楽章。曽我氏の指揮は流れるようにスマートだし、ホールの響きを十二分に楽しめる演奏がはじまりました。アンサンブルもなかなかまとまりがあり、弦楽器によるメロディーの受け渡しも、とても楽しめました。しかし、1曲目ということもあり、いささか響きが硬いかなあと感じました。どの楽器も、響きを楽しむというのはいいのですが、最初からガンガン鳴らすというのはいけないものなのでしょうか?
ティンパニーも、古典的な響きを出すようなスティックで演奏しており、ホールの響きや全体のバランスを見切ったようなすばらしい演奏でした。しかし、もっとガンガンたたいてほしかったのは私だけでしょうか。
休憩の後は、またまた、私の大好きな「モーツアルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調」です。ヴァイオリンのヨハネス・レーアタワーの個性的なヴァイオリンの音。私は、何より、曲を楽しむ気持ちを抑えることなく演奏している姿を見ていて最高に楽しい気持ちになりました。
次に「モーツアルト:弦楽五重奏曲 第4番 ト短調 K.516 より 第1楽章」です。もう、たまりません。次々と流れる美しい旋律、その旋律が各楽器によって、受け渡されていく様子を目で見て聞いて楽しむ。演奏会ならではです。
そして、「ハイドン:交響曲第93番 ニ長調 2,3,4楽章」です。何と2ndヴァイオリンにレーアタワーが座っているではありませんか。レーアタワーの音楽を楽しむ姿勢が、客席にも十二分に届いてきました。そして、2楽章の後には、自然と拍手も沸き起こりました。3楽章では、弦楽器も、どんどん音が出てきたように感じました。そして、管楽器です。ファゴットによるブリッジもブォーっと決まりました。
オーボエの新本さんの美しい音も、益々美しさを増していました。4楽章へ突入後も、ホールの響きは大切にされ、荒々しい演奏になることはなく、美しい響きが保たれていました。
次の演奏会ではレーアタワーはいないのが残念でなりません。次回は、趣向を変えてみて、ハイドンを弾きまくり、出しまくり、歌いまくりの演奏会でも聞いてみたいです。
いずみ ひびき さん