第7回淡路島演奏会 日時:2002年9月8日午後3時開演
 しづかホール(淡路島津名町)
指揮   :曽我 大介(音楽監督・常任指揮者)
ソリスト :中野振一郎/ピアノフォルテ
モーツァルト:
セレナード第6番ニ長調K239セレナータ・ノットゥルナ
ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K271「ジュノーム」
交響曲第41番ハ長調K551「ジュピター」
今回の淡路島定期は全曲モーツァルト・プロ。中でも注目したのはピアノ協奏曲9番「ジュノーム」だ。ソロは中野振一郎、使用楽器は山本宣夫氏蔵の1820年代に作られたフォルテピアノと、ただならぬものだった。
 やや速めのテンポで、さっそうとした第一楽章。大評論家の小石氏なら「流動性豊か」と評しそうだ。そして、問題のフォルテピアノが鳴り出す。チェンバロとピアノの中間、というと言い過ぎだが、ベーゼンドルアファーの渋い響きをさらに極端にしたような、光沢を抑えた響き。コロコロコロン、とかわいく音が転がる。音量が小さいのが初めは気になったが、「昔はこんなもんだったはず」と腹をくくれば、どうということはない。
 中野の個性が出始めたのは、第二楽章以降か。左手の分散和音を強めに利かし、フレージングを短めにまとめ、はぎれよく音楽を展開させる。楽器の個性も十分計算している気配だ。第三楽章は緩急、強弱で、さらに大胆さを増し、自由自在。バロック的な遊び心が存分に発揮され、見事だった。
 ところで、この楽器に関する説明が、パンフレットの中にほとんどない。山本氏が堺在住のとてつもないピアノ職人で、作曲された時代の楽器の使用を提唱なさっていること、今回の楽器が現代のものとどう違うのかなど、うんちくが分かれば、もっと楽しめたのではないかと思う。もちろん、鳴った音楽が一番大切なのがコンサートだけども。
 最後に演奏した「ジュピター」は、特に第四楽章が聴きごたえ豊か。筋肉質な響きで、フーガ部分の推進力もなかなかだった。セレナード6番では、指揮者の曽我大介がコントラバス演奏を担当し、ソロを披露。バイオリンの二人とティンパニ、ビオラも、それぞれアドリブ・ソロがあったが、ビオラがチャイコフスキーのバイオリン協奏曲のメロディーを奏でたのは、ちょっと笑った。
座頭 市太郎

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