![]() |
指揮: T.ザンデルリンク指揮
ピアノ:奈良田 朋子 グリンカ 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 リスト ピアノ協奏曲 第1番 チャイコフスキー 交響曲 第4番 へ短調 Op.36 |
まず最初は、グリンカ「ルスランとリュドミラ」序曲。
全体のバランスは良かったのですが、ちょっと迫力不足というか、ノリが悪いというか、少し物足りない面がありました。恐らくこの日2回目ということで、楽団員の皆さんがまだ目覚めていなかったのかなと思います。指揮者のザンデルリンクさんは、いつもの身体を前後左右に小刻みに揺らすフォームで、うまくまとめていました。
2曲目のリスト・ピアノ協奏曲第1番。ピアニストの奈良田朋子さんが熱演で、感銘を受けました。非常に力強いタッチと響き。もともと20分ぐらいの短い曲ですが、それがさらにあっという間に終わってしまったような充実した演奏でした。あの広いフェスティバルホールの会場で、あそこまでピアノをよく鳴らすとは、ほんとに凄いと思いました。熱演・力演ぶりが聴衆にも伝わって拍手がしばらく鳴り止まず。奈良田さんはアンコールを1曲弾いてくれました。
最後は、チャイコフスキーの交響曲第4番へ短調。これは最後のクライマックスが素晴らしい曲ですが、期待通りの盛り上がりで、大変感動しました。
第1楽章は、ややテンポを抑え気味で、エネルギーを少し溜めているのかなと思わせる、落ち着いた演奏。続く第2楽章は、出だしの哀愁を帯びたオーボエのメロディーが素晴らしく、これを聴けただけでも生演奏を聴きに来た甲斐がありました。如何にも、ロシアの風土を思わせる旋律を上手く表現していたように思います。テンポも適切。同じメロディーをファゴットが、よりメランコリックに弾いて楽章を閉じたのが印象的です。
ピッチカート主体の短い第3楽章を経て、いよいよ第4楽章。テンポも適切で、シンバルが全体を圧しつつ、大きな音量で楽章の特徴を打ち出してくれます。民謡から取ったという素朴なメロディーが心地よく響き、次第にクライマックスに向かって突き進んで行く感じがうまく表現されていました。さして最後に今まで溜め込んでいたエネルギーを一気に放出させるような大音量でのクライマックス。リズムも適切で、乱れることなく演奏を終え、最後の音が鳴り終わると同時に大きな拍手が起こりました。ザンデルリンクさん、楽団員の皆さん、お疲れのようでアンコールはありませんでしたが、この第4番の演奏をたっぷり聴いただけできょうは満足でした。
安東知保さん