![]() 指揮:曽我大介 |
![]() |
|
|
|
2回目の公演の会場は、ブカレストからバスで約2時間半北上した山すその都市・ブラショフの「軍人会館」。ブカレストに到着したころは温かく、雨が降り続いていたが、ここでは冷え込みが厳しく、気温は零下20度前後。道は凍てついていた。 ホールは、その名のいかめしさとは対照的に、豪華なジャンデリア、大理石による宮殿風の柱を持つなど、高級サロンのような優雅さが漂う。時の流れまでが、ゆっくりしているかのようだ。放送響との共演など、特殊な状況下でのプレッシャーを感じさせた初回とは一転、この日のシンフォニカーは解き放たれたように集中力が高かった。
尾高のフルート協奏曲は、現地の聴衆に最も強い印象を与えたようだ。前回とは楽器を変えて登場した末原のソロは、第1楽章冒頭からテンポの伸縮が自然で、音楽がみずからわいてくるように流れがいい。緊張と緩和など、音楽的な性格の切り替えもスムーズだった。
第2楽章は各音符のニュアンスの変化が精妙で、日本的な情緒の深さも、前回を大きく上回る。フィナーレのソロは極めてシャープな切れ味があった上、弦のピチカートのうごめき、木管の長い吹き伸ばしなど、オケの絡みにも有機的な味わいが満ちていた。第1楽章のメロディーが再現されるクライマックスでの充実した響きは感動的で、ソロとオケのバランス、一体感も万全だった。 後半のベートーベン「7番」も快演。 第1楽章序奏のホルン、フルートなどのソロは伸びやかさの中に、りんとした清潔感、決然とした風格が豊か。主部開始以降のアンサンブルも緊密だった。きびきびとした動きと、個々の音のえぐりが深い低音、野性味と威厳を両立させていたティンパニなど、どのパートも生き生きと躍動していた。 第2楽章のとうとうとした流れから迫力あるフィナーレまでは、一気に過ぎ去ったかのような自然さと充実ぶり。曽我大介とシンフォニカーのベートーヴェンを聞くのは「英雄」「第九」に続いて3回目だが、今回のように純度が高く、ベートーヴェンそのものを感じさせてくれた演奏は初めてだ。 (つづく) |