第65回定期演奏会
祝!平成11年度大阪文化祭賞受賞!

1999年11月29日・月 開演:19時00分
会場:ザ・シンフォニーホール 
出演:指揮/小泉和裕 Vn/川田知子

曲目:
ハイドン/交響曲第73番 ニ長調「狩り」Hob.I,73
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
バルトーク/管弦楽のための
後藤 直孝さん
私にとって今日の公演で大阪シンフォニカーを聴くのは2度目になります。以前に聴いたのが大分前でしたので今回が実質初めてのようなもの。どのレベルか楽しみにシンフォニーホールに向かいました。  まず席についてびっくり。一階J列15番と通路の後ろのほぼ真ん中。「こんな特等席で見たことない!」かつ「ひょっとしたらブラスがかなりうるさいかもしれないなぁ」と頭をよぎりました。  
 第一曲:ハイドン 交響曲第73番「狩り」  さらっと始まったけど、なんだかバランスが悪い。低弦がしっかりなっている割にヴァイオリンが聞こえてこない。いや、聞こえてはいるんだけどばらばらな感じなのだ。「席のせいで気になるのか?それとも出だしが調子悪いのか。うんウィーン・フィルも出だし悪いしね。」などと思っていたんですが、そのまま一楽章終了。そして二楽章に入ってもその傾向が続く。ヴァイオリン以外はまぁ良くも悪くもなく無難に進んで行くが、相変わらずヴァイオリンがまとまらない。
なんだか音に自信や確信がなく、パンっと出てこないのだ。「こういうオケなのか」とややがっかり。第三楽章はメヌエットにしては重く、少なくとも私好みではなかった。そして四楽章。やはりヴァイオリンの乱れが気になる。「ヴァイオリン以外はまとまってていい感じなのに...」というのがこの時点での感想。  
 第二曲:シベリウス ヴァイオリン協奏曲  
この曲は文字通りソロの川田知子さんの「独断場」でした。エメラルドグリーンのドレスで登場し、あの神秘的な出だしを弾く川田さんはまさに「北欧の妖精のよう(こういう言い方好きじゃありませんが)」でした。初めのところで「線が細いかな」と思ったのも杞憂で、見事に「ふくらみ」あとは変幻自在。アダージョでは「ろうろうと」歌い、終楽章ではユーモアも忘れない実にロマンティックで的確なスタイルの見事なソロでした。少なくともシベリウスの協奏曲のスタイルとしては私には「ほぼ完璧」ないい演奏。シンフォニカーのバックも出しゃばることなくうまく支えていたと思います。時々「そこまでせんでも」と思う金管、ティンパニもありました(あのバルトークを聴いた後だけに余計そう感じます)し、この曲ではヴァイオリン群がそれほど目立つところもなかったし(←この時点ではヴァイオリンは完全に「悪者」と思ってました。)。  
第三曲:バルトーク 
管弦楽のための協奏曲  出だしは深い低弦のしっかりした音。人数の少なさを感じさせない。「ああ、低弦は本当に良いのになぁ...」。そして神秘的な木管。「ヴァイオリンも低音なら粗がでないか...」と思っていたのもつかの間。引き裂くようなヴァイオリンの充実した音!「なんだこりゃ!!!」前の二曲と全く違うオケのよう。人数も増えているがそれだけではないのだ。すべての音が確信を持ってしっかりと弾かれている。そしてそれに引っ張られるかのように、管が歌う。しかも強音になっても他の音をつぶさず、見事なバランスを保っている。強いのだけどうるさくない、見事な管群。打楽器も適切な強さで「熱く」一楽章を終える。
 二楽章はソロの聴かせどころ。ここも、特に突出はしないがすべてのソロがうまくアンサンブルを作っていた。本当に見事なバランス感覚!
 第三楽章「哀歌」もそのスタイル。弦は良く歌い、管もそれに応える。そして演奏は深刻にならず「暖かい」。
 第四楽章「中断された間奏曲」も良く歌い、見事なアンサンブル。ここでバルトークの「皮肉」らしい演奏が良く聴かれるが、シンフォニカーの演奏は「ユーモア」であった。決して攻撃的にならないのである。
 そして「終曲」。良く歌うヴァイオリン!細かいパッセージも長く歌うところも、本当に良く歌われている。そして全オケが「うねる」。金管も「叫ばず」「強く歌う」。それだけにシンバルの強い一撃が印象的でした。そして熱狂のうちにフィナーレへ。  この曲を今まで精神を患ったバルトークの狂った音楽と考えていた私には衝撃的な演奏でした。どこをとっても「あたたかい」演奏でした。それでいて生ぬるくない、熱い歌が聴かれました。うるさくなりがちなこの曲で見事にバランスを取ったシンフォニカーの演奏とそれをまとめ上げた指揮者の小泉和裕氏の手腕に感心しました。このバルトークはどこに出しても恥ずかしくない演奏だったと思います。(それだけにハイドンが?)あれだけの演奏にあの喝采は残念。  ごめんなさい。私はシンフォニカーの実力を甘く見てました。今後はもっと、ちゃんとお金を払って、見に行きたいと思います。あのバルトークを聴かせてくれた小泉氏とシンフォニカーに感謝します。 *** 以上 ***

重盛 牧夫さん
「木々も十二分に色づいて、コンサートシーズンらしくなってきた11月末、大阪シンフォニカーの56回定演は、そんな晩秋の中で開かれた。
今回は、2つの期待があった。1つは言わずと知れた、あの「オケコン」に対して、シンフォニカーがどのように取り組むのか、もう1つは定演で久々の客演となる小泉氏のタクトである。小泉氏の演奏には1度しか接する機会がなかったが、その際はオケの調子が悪すぎたのか、私にとっては不完全燃焼で終わっただけに、氏の音楽の本質に少しでも触れることができれば、と考えてコンサートに臨んだ。 1曲目のハイドンは、初めて聴く作品。ソナタ形式を確立して、円熟期に向かっていく時期のものと思うが、予想通り解説がなくても、その形式が手に取るようにわかる。3楽章のメヌエットなんかは、その典型だろう。しかし、何といってもシンフォニカーの弦がうまい。この時代は、オケの中の弦楽器の比重が大きいだけに、弦のアンサンブルに難があると、全くつまらない演奏になってしまうが、今回はハイドンの良さが見事に出ていたように思う。それだけに、終楽章で肝心のホルンに、ほんの少し乱れが感じられたのは残念だった。 次は、川田知子さんをソロに迎えたシベリウス、私自身、比較的好きな曲の1つで、シベリウスの他の作品にあまり感じられない、オリエント風(と私は感じているのだが)のメロディーに、いつのまにか引きずり込まれてしまう。しかし、これほどソロが弾きっぱなしの作品だったとは、あらためて驚いた。実際、生は初めてで、普段はCDで聴いていただけに、これほどソロが大変とは思わなかった。プログラムの解説でも触れてあったが、まだ言い足りないくらいだろう。
さて演奏だが、実は伏線がある。ご覧になった方も多いと思うが、前日のテレビでN響とシェリングのベートーヴェンのコンチェルトが放映されていた。これが素晴らしい立派な演奏で、特にその音程の確かさに舌を巻いてしまった。そのため、川田さんの演奏も、どうしても音程に耳が行ってしまうのだが、そこはパガニーニコンクールに出場したくらいの方、お見事としか言いようがない。最近、その点で首を傾げるソロが続いたので、かなり特をした気分でもある。ただ、音色の変化を付け過ぎていたように感じたのは私だけだったろうか。もう少し余裕を持って、もっとたっぷりとした音を多用したほうが、この作品には合っているような気がしたが。
とはいえ、充分満足できる演奏であったことは間違いない。 お待ちかねの「オケコン」である。この曲、はっきり言ってヘタクソなオケなら、全く聴けない。また、私にとっては決して愛聴曲ではないし、耳に残る心地よいメロディーなぞ皆無と言っても過言ではないと思うが、それだけにかなり客観冷静に聴くことができる作品とも言える。しかし、今回は文句のつけようがなかった。小泉氏の引き締まった指揮棒の冴えも見事なら、それに十二分に応えたシンフォニカーの実力もまた、素晴らしいものであった。
特に各パートの実力が如実に試される2楽章など、特筆ものだろう。ザンデルリンク氏・本名氏の就任以来、機動力のあるオケとして評価して
いたが、今回のオケコンでまた1歩前に進んだのではないか。そしてそれが、客演の小泉氏のタクトから生まれたことも、大きな意義があるように思う。
久々に初めから終わりまで、満足できたコンサートであったことを付け加えて筆を置くことにする。 なお、当日は風邪で体調が悪く、途中で咳が止まらずに、周囲の方には大変ご迷惑をおかけしました。この場を借りて、深くお詫び申し上げます。

RETURNCRITIC_TOPHOME