第36回名曲コンサート2005年06月18日(土)
指揮:矢崎彦太郎 
ピアノ:伊藤恵
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
ラヴェル:バレエ音楽「マ・メール・ロワ」組曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲(1919年版)

◆ 名曲といっても単に有名な曲なのか、またはその作曲家の真に代表的な名作なのか、受け取り方はさまざまだろうが、今回の場合はドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」とストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」は、前者の部類に属するだろうし、ラヴェルの2曲、ピアノ協奏曲と、組曲「マ・メール・ロワ」は、後者のカテゴリーになるだろう。そしてフランス音楽の代表作でもある、これらの名曲の数々は、ちょっとした暴力にも壊れてしまう、デリケートな脆弱さも併せ持っている。指揮者の矢崎彦太郎は、フランス音楽を得意にしているだけに、これらの作品の再現者としては打ってつけの人材と言えると思う。彼は若いときには往々にして、オーケストラを煽り立てる傾向がみられたが、今回はそのようなとこが影をひそめ、オーケストラを存分に鳴らせながら、しかも決して汚い音を出したり、金切り声にさせない。そこに絶妙のコントロールが利いているのである。
勿論こうした演奏が実現出来たのは、大阪シンフォニカーの実力の賜物といっていい。特に管楽器の独奏者たちのセンスの良さと、アンサンブルの緻密さには感心させられた。中でもドビュッシーでの弱音の持続の安定感は、現在のこのオーケストラの充実振りを窺わせている。またラヴェルの協奏曲を弾いた、伊藤恵の見事な演奏も特筆して置きたい。彼女の独創は技術的に優れているのは当然だが、やや生真面目さが表立っているとはいえ、モーツァルトに通じる古典的な格調というものを、あらわしていたのは立派だと思う。矢崎指揮のオーケストラも、この伊藤のピアノを支えて申し分がなかった。ストラヴィンスキーは、やや元気一杯の矢崎らしい表現だったが、かつてのような勇み足ではなく、バランス的によく整えられていたのが良かった。むしろ大阪シンフォニカーの優れた合奏力に支えられての好演といえたのではないか。
(6月18日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓

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