第37回名曲コンサート2005年07月17日(日)
指揮:ウラディーミル・ヴァーレック(当楽団首席客演指揮者)
ピアノ:寺田悦子
ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 Op.74「悲愴」

◆ 指揮は首席客演指揮者のウラディーミル・ ヴァーレックで、ショパンのピアノ協奏曲第1番と、チャイコフスキーの交響曲第6番「 悲愴」が演奏された。ピアノ独奏には、ヴェテランの寺田悦子が招かれていた。
 ヴァーレックの音楽に対する姿勢は、チャイコフスキーの「悲愴」で、端的に示されていたといえる。それは第1楽章の提示部の終わりで、クラリネットのソロが、第2主題をピアニッシモで吹くところ、その最低音域を通常バス・クラリネットに吹かせるのだが、ヴァーレックは慣習にとらわれず、スコアの指定どおりファゴットに吹かせていた。CDでは2,3こうした例はあるが、実際のステージ演奏では初めて接した、厳格な原典主義である。ヴァーレックは通例の慣習よりは、作曲者の指定の方を大切にしているのだろう。
こうした姿勢はショパンにも窺え、第3楽章のロンド主題のトランペットを、あえて抑えなかったのも、スコアに忠実たらんとしたからにほかならない。
 全体にからっとした感傷みのない、すっきりした感じのチャイコフスキーになり、プロポーション的にもバランスのとれた、誰もが納得出来る表現になっていたといえる。ショパンも含めてヴァーレックの指揮は、職人芸の最たるものだっただろう。響きのバランスは考え抜かれたもので、トゥッティになっても決して絶叫調にはならない。弦の合奏などもう少し、艶やかな柔軟性があってもと思わせたが、木管による内声部の充実が、それを補って余りある効果を発揮していた。大阪シンフォニカーの演奏力の、充実の賜物といえよう。ショパンでの寺田は、ヴェテランらしく巧妙な音楽運びを聴かせたが、小ぎれいで耳当たり良い演奏にもかかわらず、表現が平面的で踏み込みが足りず、技巧的にも音色的にも物足りなかったのが残念。オーケストラの演奏がしっかりしていただけに、もう少し丁々発止の対話が聴きたかった。 
(7月17日 [夜の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓

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