第38回名曲コンサート2005年09月03日(土)
指揮:飯森範親
ヴァイオリン:高木和弘
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a 
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 Op.26
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92

◆  指揮者の飯森範親は現在、ドイツのヴュルテンベルク・フィルの音楽総監督を務める一方、東京交響楽団の正指揮者、山形交響楽団の常任指揮者、いずみシンフォニエッタ大阪の常任指揮者を兼ねている。今最も多忙な、若手指揮者の一人である。曲目もブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、それにベートーヴェンの交響曲第7番という、「名曲コンサート」にふさわしい、有名曲ソロイデあった。またヴァイオリン独奏には、大阪生まれで指揮者飯森の下で、ヴュルテンベルク・フィルのコンサートマスターとして活躍する、高木和弘が起用されていた。

 飯森の指揮は実に正統派で、ドイツ音楽の要諦を心得た、一点も揺るがせにしない楷書調の音楽造りに特色があったように思う。ブラームスの作品から、変奏の一つ一つを丹念に描き分けた、生真面目ともいえるアプローチが、音楽の持つプロポーションを明らかにしたといえる。ブルッフでの高木のソロは、技術的な面からいえば、恐らく最高の水準に達した、高度な演奏と評して差し支えなかっただろう。だが意外にソロイストとしての華に乏しく、表情の変化も余り感じられなかった。第2楽章の抒情的な歌の部分も、いわゆるブレス感がなく、人間的な暖かい体温が伝わって来ない。飯森の指揮がかなり劇的で、積極的に踏み込んだ表現だったので、より高木の表情の変化の乏しさが、際立つ結果になってしまった。

 ベートーヴェンはいかにも飯森らしい、情熱的な表現で、若々しく湧き立つような爽快さが魅力だった。トゥッティの部分で、ホルンを2本、トランペットとファゴットを1本補強して、いわゆるピラミッド・サウンドを損ねない工夫も窺えたが、優れたコントロール能力を発揮して、決して騒々しくならない、バランスのとれたサウンドが、セールス・ポイントだっただろう。大阪シンフォニカーのアンサンブルも、飯森のバトン・テクニックのよろしきを得て、緊密にまとまったハイ・レヴェルの演奏を展開したといえる。とにかく音楽性の高い指揮者を迎えたとき、オーケストラはその最上の持ち味を発揮するものである。
(9月3日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓

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