第39回名曲コンサート2005年11月13日(日)
指揮:寺岡清高(当楽団正指揮者)
サックス:須川展也
ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」Op.9 
グラズノフ:サクソフォーン協奏曲変ホ長調 Op.109
ピアソラ:鮫、オブリビオン、リベルタンゴ
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵

★コンサートへのご案内

◆正指揮者の寺岡清高の指揮で、ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)のほか、サックス奏者の須川展也をソロイストに迎えて、グラズノフのサクソフォン協奏曲と、アルゼンティンのバンドネオン奏者で、モダン・タンゴの巨匠ともいわれた、ピアソラ(1921〜1992)の「鮫」、「オブリビオン」、「リベルタンゴ」の3曲も演奏された。須川はグラズノフとピアソラの2曲では、アルト・サックスを吹いていたが、「リベルタンゴ」の後半では、ソプラノ・サックスに持ち替えていた。彼のサックスはテクニックが流暢で、音色も素直で美しく、そしてリズミカルなアタック感にも恵まれ、ピアソラの作品を存分に楽しませた。オーケストラの伴奏譜は、オリジナルではなく、2管編成の生真面目なもので、テイホウなる人物の手によるという。またグラズノフは弦楽合奏の伴奏で、サックスの技巧的な多彩さと、うたう特質を前面に押し出したチャーミングな曲。須川の演奏はピアソラでの美質をそのまま発揮したものだったが、余りにも素直過ぎて、曲の弱さを考慮に入れるともう一工夫があっても良かったのではないか。寺岡の指揮と大阪シンフォニカーの演奏が、かなり積極的な踏み込みを見せていただけに、須川のストレートな表現が、逆に物足りなさを感じさせたのは確かである。

 寺岡の指揮は最初のベルリオーズから快調で、若さを感じさせるスピード感と、オーケストラを鳴らせるバランス感に優れ、特に「ローマの謝肉祭」は、木管は2管だが、ファゴットだけ4本使っていることなど、彼の指揮で聴いていると、そのノウハウが手に取るように分かる。ただ旋律がヴィオラに移る部分など、大阪シンフォニカーのこのセクションの人数の少ないのが、ネックとして感じられるところに、寺岡の正直さも出ているというべきだろう。ムソルグスキーもそうした、寺岡の特質のあらわれた快演で、ここでは「古城」のアルト・サックスのソロを、独奏者の須川が担当するというサーヴィスぶりだったが、そんなことよりも全体のサウンドの安定度の高さ、それに「牛車」でのクレッシェンドと、デクレッシェンドなどでは、大阪シンフォニカーの潜在的な力量のほどをうかがい知ることが出来た。音量が大きな放物線を描く場合でも、決して金切り声になったりしない。この点が寺岡の実力であり、大阪シンフォニカーのやる気なのであろう。
(11月13日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓

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