第40回名曲コンサート2006年02月04日(土)
指揮:現田茂夫 
ピアノ:熊本マリ
ガーシュイン:キューバ序曲
ガーシュイン:ピアノ協奏曲ヘ調
ガーシュイン:ラプソディ・イン・ブルー
ガーシュイン:パリのアメリカ人

※コンサートへのご案内

◆神奈川フィルの常任指揮者、現田茂夫が指揮台に立ち、オール・ガーシュウィン・プロが演奏された。最初のキューバ序曲の冒頭で、オーケストラのアンサンブルに乱れを生じたのは、指揮者現田の不手際もさることながら、大阪シンフォニカーも、この種の音楽には慣れていない証左だろう。中間部に入る直前あたりから、アンサンブルもまとまりをみせ、難なくエンディングを迎えることになったのは何よりだった。
 ピアノ協奏曲ヘ調は、ラヴェルのト長調、プロコフィエフの第3番と並んで、20世紀が生んだ3大ピアノ協奏曲の一つだと、筆者は信じているが、ラフマニノフ風の名人芸と、ニューヨーク風の都会的な洗練を併せ持つ、この曲の独奏者としては、どうも熊本マリは適材適所とは思えなかった。技術的には大きな破綻もなく、一応外面的には傷の少ない演奏だったが、ヴィルトゥオーソ・スタイルでもなく、かといってソフィスティケーションに徹したスタイルでもなく、はなはだ中途半端な印象しか残さなかった。そして何よりもマルカートなピアノの粒立ちに乏しく、また音色的な魅力にも不足していた。これは名作「ラプソディー・イン・ブルー」でも例外ではなく、熊本のピアノがネックになって、全体の印象がぼやけたものになったのは残念。
現田の指揮は十全とはいえなかったが、旋律をうたわせることにかけては、はっきりとした才能を示し、ガーシュウィンのブルージーなメロディの魅力を堪能させたといえる。
 また「ラプソディー・イン・ブルー」や、最後の「パリのアメリカ人」で、トランペット・ソロを吹いた奏者など、かなりガーシュウィンの音楽にホットな共感を示して、快い熱演ぶりが好印象を残した。結局今回のガーシュウィン・プロでは、最もまとまった好演になったのは「パリのアメリカ人」で、現田の指揮もようやく堂に入り、大阪シンフォニカーも本来の調子を取り戻したようだった。
特にアメリカの、それもジャズやポピュラー音楽のイディオムを採り入れた作品の演奏は、かなり経験を積まなければ、感覚的に把握するのが難しい。大阪シンフォニカーも、なるべくチャンスを捉え、アメリカ音楽を得意とする指揮者を得て、演奏回数を重ねて行って欲しいものである。
(2月4日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓

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