第41回名曲コンサート2006年06月11日(日)

指揮:山下一史
ヴァイオリン:吉田亜矢子
ブルッフ:スコットランド幻想曲 Op.36
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 Op.36
※コンサートへのご案内

◆ 指揮者はオペラハウス管弦楽団の常任、仙台フィルの指揮者も務める山下一史で、ブルッフの「スコットランド幻想曲」と、チャイコフスキーの交響曲第4番という、実にすっきりとしたプログラムだった。なおブルッフではヴァイオリン独奏者として、西宮市の出身で、現在アメリカを中心に活躍を続ける、吉田亜矢子が招かれていた。
 吉田は14歳で留学、アメリカで研鑽を積む一方、ニューヨークのコンサート・アーティスト・ギルド・コンクールで優勝するなど、若いながら既に実績も残している。今回のブルッフもテクニックと,表現意欲のバランスがとれていること、それに何よりもソロイストとしての華を持っていることを評価したいと思った。といって技巧を誇示するばかりの名人肌ではなく、ヴァイオリンをうたわせる、美しい音色と繊細も併せ持ち、アーティストとしての完成度の高さも相当のものと察せられる。山下指揮の大阪シンフォニカーも、緊密なアンサンブルでソロを支え、吉田のソロを引き立てて申し分がなかった。この若いヴァイオリニストには、今後注目すべきだろうと思う。
 チャイコフスキーはいかにも山下らしい、熱誠溢れる快演だったといえる。基本的には熱演の部類に数えられるが、ぎりぎりのところでコントロールされていたため、決して騒乱の巷に陥ることがなかった。むしろここでは大阪シンフォニカーの合奏力が、指揮者の挑発に乗ることなく、冷静な抑止力として働いたというのが実感だ。実際ここでのオーケストラは、サイズ的に低音弦の厚みには不足するのだが,それと感じさせないバランス感覚を発揮していた。作品全体に金管楽器の活躍が多く、木管もソロイスティックな動きが頻出するが、少しも騒々しくなく、しかも的確なソロ演奏で対応した、オーケストラの力量は高く評価されていい。最近のこのオーケストラの充実ぶりを示した、優れた内容のコンサートだったといえる。
(6月11日・[昼の部]ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓

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