第42回名曲コンサート2006年07月17日(月・祝)
指揮:ウラディーミル・ヴァーレック(当楽団首席客演指揮者)
ピアノ:田山正之
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 Op.30
フランク:交響曲ニ短調
※名曲コンサートによせて

◆ 曲目はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番と、フランクの交響曲という、名曲コンサートとしては地味でハイ・ブラウなプログラムである。指揮は首席客演指揮者のウラディーミル・ヴァーレック、彼はまたプラハ放送交響楽団の首席指揮者、チェコ・フィルの指揮者をも兼任している。そしてピアノ独奏には、ロンドン育ちで、園田高弘ピアノ・コンクール優勝、ブラント・バーミンガム国際ピアノ・コンクール優勝など、輝かしい実績を持ち、イギリス&ヨーロッパでは、ラフマニノフのスペシャリストと定評のある、田山正之が初めて登場した。
 田山のラフマニノフは、基本的に安定したテクニックと、透明で明るく、そして芯のしっかりした音色で、クレヴァーにしかも抒情味豊かに表現していたといえる。彼の持ち前の明るい音色は、ラフマニノフにはいささか不向きと、最初の内は危惧していたのだが、むしろ既成概念にはこだわらず、自身のキャラで貫き通して、まったく新しいラフマニノフ像を造り上げた、田山の個性にこそ注目したいと思う。いわゆる名人芸的な、ヴィルトゥオーソ・スタイルの、征服欲旺盛なラフマニノフではないが、知的なコントロール行き届いた、抒情味溢れる美しい演奏であった。ヴァーレック指揮の大阪シンフォニカーも、そうした若い田山をしっかりと支え、ソロを守り立てる交響的なバックグラウンドを描き出して立派であった。
 フランクの交響曲は、いかにもヴァーレックらしい折り目正しい表現で、循環動機を張り巡らせた構成的な作品を、明晰な解析力で分かりやすく、聴かせた労を多としたい。彼の職人的ともいえる、生真面目な音楽造りが、作品の性格と期せずしてマッチした結果だろう。第2楽章の祈りのような歌の表現など、今一つ柔軟性とたおやかさがあっても良かったが、感傷性に陥るよりは格調の高さを重んじた、ヴァーレック流の方が優れているのは確かだろう。大阪シンフォニカーは、現在関西のオーケストラの中では、大阪フィル、京響と並んで、最もモラールの高い楽団に数えられると思うが、今回のフランクやラフマニノフを聴いても、そのことを改めて確認させられる、優れた内容の演奏を提供していたと断言出来よう。
(7月17日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓

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