
ピアノ:三舩優子 ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲 J.277 ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21 シューマン:交響曲第4番 ニ短調 Op.120 ※コンサートに寄せて |
◆今回のプログラムは、ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲、ショパンのピアノ協奏曲第2番、それにシューマンの交響曲第4番という、ドイツ・ロマン派を中心にした、実に「名曲コンサート」らしい、オーソドックスな選曲である。指揮は正指揮者の寺岡清高で、ショパンでの独奏者には、ニューヨーク育ちの女流の実力派、三舩優子が起用されていた。
演奏は寺岡のリーダーシップの下に、極めて優れた演奏を展開していたといえる。最初のウェーバーから、オーケストラのサウンドが引き締まっていて、各セクションのバランスも絶妙にとれていた。特に最近の大阪シンフォニカーの管楽器の充実は目覚しく、この曲でもホルンの四重奏のアンサンブル、クラリネットのソロなど、まさに一流オーケストラのそれであった。寺岡の指揮は正統派そのもので、決して奇を衒ったり、個性的であろうとしたり、ということもなく、ひたすら中庸の美学を貫いたものだが、それで聴き手を納得させるのだから、彼の才能は本物であり、その説得力は絶大なものがあろう。
シューマンもサウンドが筋肉質で、一本筋の通ったものが感じられ、劇的な起伏にも不足のない、ロマン的ともいえるスタイルの表現であった。ここでも大阪シンフォニカーの管弦のバランスは絶妙で、いかにもシューマンらしい、渋くしかも輪郭のはっきりとした、曖昧さのない響きを紡ぎ出して見事だったといえる。オーケストラの演奏力の充実とともに、寺岡のイズムが徐々にではありながら、浸透しつつある証拠であろう。
ショパンでは三舩はその大柄な体躯にもかかわらず、実に控えめというか、慎ましやかな表現に終始していた。ときには力強さを感じさせることもあったが、総体的には音色の変化に配慮を加えた、センシティヴな好演だった。ここでもむしろ雄弁だったのは、寺岡の率いるオーケストラで、ピアノにしっかりと寄り添いながら、しかも十分に自己を主張して、はっきりとした演奏の方向感を示していたのは評価されていい。正指揮者就任2年目を迎えた寺岡としては、ようやくその持てる実力を発揮し始めたというところであろう。
(10月9日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓