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指揮:阪哲朗
シュニトケ:モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」K.425 ヨハン・シュトラウス:喜歌劇「こうもり」序曲 ヨハン・シュトラウス :ポルカ「クラップフェンの森で」Op.336 ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ「騎手」Op.278 ヨハン&ヨーゼフ:ピチカート・ポルカ ヨハン・シュトラウス:ポルカ「雷鳴と電光」Op.324 ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「天体の音楽」Op.235 ヨハン・シュトラウス :ワルツ「美しく青きドナウ」Op.314 ※コンサートに寄せて |
◆指揮は京都出身の新進で、現在ドイツのアイゼナッハ歌劇場の音楽総監督を務める阪哲郎。プログラムは新年にふさわしく、第2部にシュトラウス・ファミリーのワルツやポルカを配し、第1部にシュニトケの「モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン」と、モーツァルトの交響曲第36番「リンツ」という、やや硬派の曲目を並べたもの。阪の指揮は徹頭徹尾楽譜に忠誠を誓ったもので、その意味では真摯そのもののリードぶりだったといえる。特にシュトラウス・ファミリーの曲では、その真摯な姿勢が功を奏していたようだ。最初の「こうもり」序曲などは、やや杓子定規なリズムさばきが興をそいだが、ポルカになると「クラップフェンの森で」、ヨゼフ・シュトラウスの「騎手」などで、俄然テンポの伸縮が聴かれ、積極的なアプローチが、客席を大いに楽しませていた。大阪シンフォニカーも、弦楽器の編成がウィンナ・ワルツにふさわしく、実にバランスのとれたアンサンブルに終始していた。ヨゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」も、ゆっくりとした導入部の表現がロマンティックで、阪の曲への思い入れが、ストレートに伝わって来る好演であった。ほかにはヨハン&ヨゼフ合作の「ピチカート・ポルカ」、ヨハンの「雷鳴と稲妻」も演奏されたが、前者のダイナミック・レンジの広い表現、後者の大太鼓の効果を強調した演出など、それぞれに面白かったと評価して置きたい。
ただシュニトケの作品などは、いかにも楽譜を実際の音に翻訳するのが、精一杯といった表現で、この曲の内包する皮肉なユーモアとか、持ち前の毒のようなものは、まったくといっていいほど伝わって来なかった。大阪シンフォニカーも若いオーケストラだけに、阪の指揮に正直に反応し過ぎて、右往左往したというのが、本当のところではなかったか。ちなみにこの曲は、日本の指揮者では、井上道義が得意にしていて、筆者はシカゴ交響楽団と、京響でそれぞれ聴いたことがあるが、まるで別の作品に接する思いがした。阪の指揮では音楽そのものが、随分つたなく感じられたのはいささかショックだった。モーツァルトの「リンツ」も、古楽奏法を採り入れたスタイルだったが、その工夫の割りにはごく当たり前の無特色な演奏で、大阪シンフォニカーのアンサンブルは緻密だったが、終楽章などやや煽り立てる傾向がみられ、騒々しい表現になったのは惜しまれる。彼に対する評価は特にオペラの分野で高いものがあるが、演奏会の指揮者としては、やや決め手に欠けるというのが正直な感想である。
(1月13日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓