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指揮:ヨハネス・レーアタワー
ピアノ:奈良田朋子 ブラームス:悲劇的序曲Op.81 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18 メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調Op.90「イタリア」 ※コンサートに寄せて |
◆ 指揮者はオランダの中堅、ヨハネス・レーアタワーで、ブラームスの悲劇的序曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、それにメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」が演奏された。ピアノ独奏は京都市立芸大出身で、フランスへ留学後、第10回ラフマニノフ国際ピアノ・コンクール第2位、第4回リスト国際ピアノ・コンクール第3位など、既に多くの実績のある奈良田朋子が受け持っていた。
レーアタワーはバロック・ヴァイオリンの奏者としてスタートして、アムステルダム・バロック管弦楽団のコンサートマスターを務めたとあるから、古楽奏法を採り入れた演奏を聴かせるのかと思ったら、そうでもなく普通のオーソドックスなスタイルであった。演奏のクォリティは、3曲の中ではラフマニノフが、最も魅力的だったといえる。奈良田は単に技巧的な完成度の高さを発揮したのみではなく、作品を完全にマスターして、極めてアトラクティヴに、果敢な表現を聴かせたところが素晴らしかった。この曲はオーケストラの響きが厚く、ともするとソロは埋没する傾向が強いが、奈良田はむしろ指揮者をリードして、オーケストラを乗り越えて、ピアノの音を明確に鳴らしていた。しかも音色のコントロールもしっかりとして、決して暴力的にならなかった。久しぶりにこれは、新しい才能との出会いといえる、近来稀に見る演奏会となった。
レーアタワーはメンデルスゾーンでは、スピード感のある若々しい表現を聴かせ、大阪シンフォニカーも俊敏な反応で、彼の要求を十分に満たしていたといえる。彼の指揮はいわゆる器用とか、小回りの利くといった類のものではないが、あくまでも正攻法にして理をわきまえたもので、そのオーソドックスなスタイルは高く評価したい。ただブラームスはやはり、オーソドックスそのものだったが、細部にややこだわり過ぎ、まるでブロックを一つ一つ積み上げて行くような表現で、全体の流れがスムースでなく、いささか曲そのものが冗長に感じられたのも確か。だがこうしたことは、経験を積むことで、いつの日にか解決する問題ではあろう。
(5月26日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓