第47回名曲コンサート2007年07月16日(月・祝)
指揮:ウラディーミル・ヴァーレック(首席客演指揮者)
ピアノ:児玉桃
ドヴォルザーク:序曲「オセロ」Op.93
       (組曲「自然と人生と愛」第3部)
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番ト短調Op.22
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」
★コンサートに寄せて

◆ 首席客演指揮者のウラディーミル・ヴァーレックの指揮で、ドヴォルザークの序曲「オセロ」、サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番、それにベートーヴェンの交響曲第5番「運命」というプログラム。ちなみに「運命」という愛称は日本だけで、ドイツ語圏ではハ短調交響曲、英語圏では第5交響曲と呼び習わしている。念のため。
 演奏は全体的にレヴェルが高く、ヴァーレック=大阪シンフォニカーの顔合わせでも、最上級の表現が聴かれたといえる。まずドヴォルザーク、管と弦のバランスが優れ、サウンドがよくブレンドして、実にまろやかな音色が美しかった。弦楽器が艶やかな響きで、たっぷりとうたい、日頃めったに聴く機会のない、ドヴォルザークの序曲の持ち味を、的確に伝えるヴァーレックの見事な職人芸に、改めて感じ入った次第。
 それはベートーヴェンでも同様で、比較的テンポも速く、どちらかというと軽めのサウンドだったが、全体に明朗で健康的、その上古典的な格調にも不足せず、実に見事な交響曲としてのプロポーションを描き出していた。大阪シンフォニカーの合奏も緻密で、決して汚い音や騒々しい音を出すことがなかった。いわゆるドイツ的な、重厚な表現を期待する向きには、余りに軽快でスマート、物足りなかったかも知れないが、ロマン性を排して純粋に、音楽的にまとめたこうした行き方も、一つの見識として評価したいと思う。
 サン=サーンスでは、ヨーロッパを中心に活躍を続ける、児玉桃が独奏を受け持ったが、彼女もしっかりした技巧を武器に、サン=サーンスの華麗な世界を程好く、知性的に描き上げて見事であった。全体の設計が綿密になされていて、突出したところはないが、洗練された感覚でさらりとまとめ上げた技量はなかなかのもの。ヴァーレックの指揮も、単なる巧妙なサポートの域を脱して、積極的に児玉と対話が交わされているので、協奏曲らしいバトルも結構楽しめた。ピアノにもう少し、華やいだ雰囲気のようなものが加われば、鬼に金棒といったところだろう。今回はヴァーレックの確かな音楽的な資質と、大阪シンフォニカーの演奏力のグレード・アップが実感出来たという点でも、聴き応えがあったといっていい。
(7月16日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓

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