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指揮:児玉宏
ピアノ:伊藤恵/田部京子 シューベルト:交響曲第7番ロ短調D.759「未完成」 モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲変ホ長調K.365(316a) プーランク:2台のピアノのための協奏曲ニ短調 プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調Op.25「古典交響曲」 ★コンサートに寄せて |
◆ 指揮は2008年度から音楽監督・首席指揮者に、就任が予定されている児玉宏で、前半にはシューベルトの交響曲第7番「未完成」、モーツァルトの2台のピアノのための協奏曲、後半はプーランクの2台のピアノのための協奏曲と、プロコフィエフの古典交響曲が演奏された。また2台のピアノの独奏者には、伊藤恵と田部京子が招かれていた。
児玉は最初のシューベルトから、オーソドックスでありながら、見通しの良い明晰な快演を聴かせたといえる。十分に重心の低いどっしりとしたサウンドで、しかも各声部は丁寧に彫琢されて、濁ったりカオス状になったりはしない。過日の定期演奏会で、ブルックナーを振ったときと同様の行き方だが、大阪シンフォニカーの緻密なアンサンブルと相俟って、大変分かり易い納得の行く表現だったと思う。
2台のピアノのための協奏曲は、モーツァルトでは田部が第1ピアノを弾いたが、お互いに謙譲の美徳というか、譲り合いの精神に徹したためか、音楽の進行に勢いのようなものが余り感じられず、小奇麗でアンサンブルの破綻はなかったが、覇気に乏しいというのが実感であった。だがプーランクでは伊藤が第1ピアノに立ち、積極的に田部をリードする姿勢をとったせいか、音楽の方向感が俄然定まり、また音楽的な覇気に欠けることなく、見事なデュオ・ピアノを聴かせたといえる。伊藤も田部もソロイストとして、華々しく活躍しているピアニストで、実際にデュオを恒常的に組んでいるのか、今回限りの特別デュオなのか定かでないが、お互いの遠慮をかなぐり捨てて、プーランクのような成果を上げるのなら、ぜひ続けて行って欲しいと願う。児玉指揮の大阪シンフォニカーも、よく2人を支えてはいたが、打楽器奏者のセンスがより良かったなら、万全のバックになっただろう。プロコフィエフは筆者にとって、児玉による初めてのモダン・ミュージックだったが、極めてスコアの指示に忠実な表現で、その意味では楽譜主義ともいえるスタイルだったが、その洗練されたサウンド造りは、プロコフィエフのこの曲にはふさわしく思えた。この作曲家の初期の作品らしく、クールなリリシズムの表現も十分で、児玉のドイツ・ロマン派以外のレパートリーに対する適性を証明したともいえる。また大阪シンフォニカーも、その充実した演奏力で、指揮者の解釈を立派に守り立てていたと評価したい。(9月16日 [昼の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓