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指揮:児玉 宏(音楽監督・首席指揮者) |
◆第52回名曲コンサート
この4月から音楽監督・首席指揮者に就任した、児玉宏の就任披露コンサートで、前半はいかにも名曲コンサートらしく、ウェーバーの歌劇「オイリアンテ」序曲と、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」という超有名曲だったが、後半は打って変わってグノーの交響曲第2番という、恐らく定期演奏会でも採り上げられるケースの少ない、珍しい作品の登場である。こういうところに、指揮者児玉の啓蒙精神のようなものが窺われる。
なおベートーヴェンでのピアノ独奏には、花房晴美が招かれていた。
演奏は最初のウェーバーから、元気溌剌とした快演が展開され、実に明るく健康的な表現は、むしろあっけらかんとしていて翳がない。オペラで経験の豊富な児玉のこと、旋律のうたわせ方などさすがと思わせるが、もう少し陰影があってもいいと思った。オーケストラの合奏には勢いがあり、若々しささえ感じられたが、健康ムード一色というのはいかがなものか。
グノーの交響曲というのは、メンデルスゾーンを彷彿とさせる、初期ロマン派らしい雰囲気の曲で、中でも第2楽章の中間部など、彼のオペラのカヴァレッタを連想させ、思わず微笑んでしまうほど。児玉指揮の大阪シンフォニカーも、かなり練習に時間を割いたらしく、アンサンブルとしての仕上がりも上々で、作品の面白さをよく伝えていたといえる。名曲コンサートで、珍しい作品のクォリティの高い演奏が聴ける、これは千載一遇の機会であった。児玉の職人としての腕の確かさと、大阪シンフォニカーのやる気のある演奏姿勢が、結び合わさった一つの結果のあらわれといっていい。ただし目玉商品ともいうべき「皇帝」は、花房のソロが十全とはいえず、ピアノが鳴り切っていなかったこと、和音の透明度や響きの豊かさに不足していた。児玉はここでも弦のプルトを減らすなどして、独奏を浮き立たせるバックグラウンドを提供していたのだが、花房がそれに乗り切れなかった感が強い。
(6月15日 [夜の部] ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓