
指 揮 : 現田 茂夫 |
◆ 指揮は神奈川フィルの名誉指揮者を務める現田茂夫、曲目はシチェドリンのバレエ音楽「カルメン」組曲、ラロのスペイン交響曲、それにラヴェルのボレロという、スペイン人以外の作曲家が書いた、スペインにちなむ音楽の特集で、いわゆる名曲コンサートにしては、かなり凝ったプログラムが組まれていた。なおラロでのヴァイオリン独奏には、千住真理子が招かれていた。シチェドリンの「カルメン」は、有名なビゼーのオペラの旋律を、弦楽合奏と打楽器のために編曲されたもので、おなじみのメロディが、装いも新たにモダンな感覚で鳴り響くのは、楽しい聴きものになっていた。現田の指揮は堅実そのもの、弦楽器をリッチに鳴らしながら、要所要所を打楽器で引き締めたサウンドは、バランス的にも優れ、充実した演奏だったと評価出来る。大阪シンフォニカーの弦楽セクションに、よりアンサンブルの精妙さがあれば、申し分のない出来になっただろう。
千住の弾くラロは、相変らず誠実そのもので、生真面目過ぎるほどの演奏だったが、技術的にもヴェテランらしい、安定度の高さが感じられ、この人の成熟を窺わせるものがあった。ただもし注文をつけるなら、音色にもう一つ魅力が乏しいこと、特にオーケストラとの掛け合いでは、弓を強く押さえつけて弾く傾向があり、楽器が鳴りにくく、ともすればソロがマスクされることになる。現田はよくつけてはいたが、ソロとの受け渡しはスムースでなく、いささかちぐはぐな面も見受けられた。特にピッコロをもっと押さえるなど、コントロールが必要だったと思う。
最後のラヴェルは、出だしの小太鼓のリズムが押さえ過ぎで、ほとんど聞こえないため、客席から私語が湧き起こったほど。ここでは現田もたずなを緩めて、大阪シンフォニカーのメンバーに任せた感じで、オーケストラものびのびと気持ち良く演奏していたようだ。ただ大阪シンフォニカーの面々も、セクションごとに格差のあることが、いみじくも露呈されたところもある。だが上り坂にあるオーケストラは、演奏そのものに勢いがあり、その気迫とモラールの高さが、現在のこのオーケストラの実力を、如実に示していると思われた。
(4月25日・ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓