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◆ 指揮は音楽監督の児玉宏で、曲目はモーツァルトの交響曲第34番に始まり、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲第1番、それにシューベルトの交響曲第3番という、恐ろしく地味で渋い作品ばかり、「名曲コンサート」というよりは、さしずめ「知られざる」か、あるいは「隠れたる」名曲コンサートと、称すべきプログラミングであった。なおピアノの独奏には、1977年生まれの若手、菊地裕介が起用されていた。
このプログラムはしかし、大阪シンフォニカーの編成には、ふさわしい身の丈に合った作品ばかりで、いわば客演奏者に頼ることなく、レギュラー・メンバーのみで演奏可能な、等身大の音楽ということにもなる。つまりアンサンブルの精度を落とすことなく、正規のメンバーのみで演奏出来るレパートリーである。最初のモーツァルトから、快調そのものの演奏が展開された。児玉はテンポを早めにとり、爽やかにリズムをキックして快い。点描される木管と、弦とのバランスも絶妙を極め、モーツァルトらしい爽快さと、優雅さを兼ね備えた児玉流のモーツァルトといえる。
シューベルトも気を衒わず、オーソドックスなアプローチによる正攻法のスタイルだが、合奏の精度が高く実によく旋律がうたわれていた。メンデルスゾーンでの菊地は、全体に軽快なタッチでやや軽量級ではあったが、メンデルスゾーンの場合はむしろ、ふさわしい軽さといっていいだろう。有名な第3楽章のロンド主題など、まるでスウィングするようなリズム感が楽しかった。アコードでの和音の不揃いなど、傷がまったくなかったわけではないが、第2楽章の湿り気のない叙情の流れなど、彼ならではの持ち味も十分に発揮して、メンデルスゾーンとの適性を示したいっていい。そしてここでも児玉指揮の大阪シンフォニカーによる、支えの確かさを改めて称賛して置きたい。確かに全体としては、名曲コンサートらしくない、選曲であり演奏であったかも知れないが、レギュラー・メンバーのみで結束した、大阪シンフォニカーの精緻な合奏と、音楽監督児玉の見識を示した、意義のあるコンサートだったと思う。(10月24日[夜の部]ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓