第60回名曲コンサート2010年03月07日(日)

指揮 :寺岡 清高

ピアノ:三輪 郁
ナレーター:加藤 燿子

レーガー    : モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ Op.132
ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 Op.19
           <べートーヴェン生誕240年>

ブリテン    : 青少年のための管弦楽入門 Op.34
           (パーセルの主題による変奏曲とフーガ)ナレーション付き


◆ 正指揮者の寺岡清高の指揮で、レーガーの「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」と、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」、それにベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番という、なかなかハイ・ブラウな内容のプログラムだった。ピアノ独奏には、ウィーンで活躍する、三輪郁が招かれていた。レーガーとブリテンは、いずれも変奏曲とフーガという形式で共通している。そして両曲ともオリジナルのテーマを演奏するというスタイルで、レーガーの場合はモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番の第1楽章を、三輪が弾いて聴かせるという贅沢さ。またブリテンではテーマになった、パーセルの「アブデラザール」のロンドを末原諭宜が、リコーダーで演奏した。
 演奏はいずれも極めて充実したもので、現在の大阪シンフォニカーの実力が、遺憾なく発揮されたという感が深かった。寺岡の表現は各変奏の性格を克明に描き出し、その性格の違いを実感させるという、啓蒙精神に溢れる行き方と言える。中でもレーガーの場合は、フーガに於ける声部の処理が的確で、対位法的な線の絡みを鮮明に描き分け、晦渋に陥るのを見事に避けていた。またブリテンでは、ナレーターとして、フリー・アナウンサーの加藤燿子が起用されたが、さすが話しの入りのタイミングが良く、音楽の流れを妨げない工夫は、ヴェテランならではの話術であろう。寺岡の指揮も十分に作品を咀嚼していて、実に分かりやすくまた安定した好演を展開していた。大阪シンフォニカーは、各セクションごとの技量の格差を最小にとどめる、伯仲したアンサンブル能力で応えたといえる。
 ベートーヴェンは三輪のセンスの良いタッチと、明晰で暖かみに溢れた音色で、曲にふさわしいインティメートな世界を描き出していた。技術的には十分不可欠な要素に恵まれ、その上に人間的な温もりを感じさせる、独特のウォームな雰囲気は得難い彼女ならではの長所だろう。特に第2楽章に於ける抒情の流れは、曲に対する彼女の愛情と、室内楽的な奥行きを感じさせる内容であった。寺岡指揮の大阪シンフォニカーも、三輪のソロを立派に支えてはいたが、弦の速いパッセージでは、いささか合奏がラフに感じるところがあったのが、画竜点睛を欠く結果になったのはいささか残念。
(3月7日・ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓

HOME | もどる