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◆ 大阪シンフォニカー交響楽団から、大阪交響楽団に名称変更しての、最初の名曲コンサートである。指揮者は今年26歳の若手、川瀬賢太郎が抜擢され、グリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、それにR=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」という、オール・ロシア音楽のプログラムで開催された。
最初のグリンカからして、川瀬は若々しくオーケストラをドライヴして、リズミカルで歯切れの良い演奏を展開した。川瀬の音楽は基本的にオーソドックスな正統派で、演奏の中心を弦楽器に置いて、管楽器を点描的に扱い、大らかに旋律をうたわせるというスタイルである。
それは「シェエラザード」」でも、まったく変わることがなかった。この曲の持つ物語的な要素とか、描写的な面に余りこだわらず、あくまで純音楽的というか、交響曲的に仕上げたケースといえる。したがってテンポの揺れはほとんどなく、インテンポの感覚で全体が進められた。大響の管楽器のソロはしっかりしていて、しかもオケは充分に鳴り切っていた。ただ全体に大響のサウンドは細身で硬く、この曲の場合ゆったりとした広がりと、柔軟性のようなものが加わると、より魅力的な演奏になっただろうと思われた。
チャイコフスキーの協奏曲では、女流の若手ヴァイオリニスト、吉田恭子が招かれていたが、彼女は現在の若手に共通の、優れたテクニックの持ち主といえる。ただチャイコフスキーの協奏曲の独奏としては、やや小ぶりというか線の細いところがあり、部分的には楽器が存分に鳴り切っていない、もどかしさのようなものが感じられた。川瀬の指揮はここでも、恰幅のあるゴージャスな響きを聴かせ、ソロを圧倒するような趣があった。ただオケのみのトゥッティでは、弦と木管のフレーズの受け渡しなどで、ぎこちない部分が散見されたりしたのは、やはり経験量の不足のしからしむところか。しかし川瀬の指揮は基本を忠実に守っていること、アプローチそのものに不自然さがないこと、さらに若々しい感性の豊かさが漂っている。まずは「名曲コンサート」デビューは、成功したと評価していいだろう。
(5月22日・ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓