
指 揮 : 現田 茂夫 |
◆ 2011年最初の名曲コンサートということで、ウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートを模して、シュトラウス・ファミリーの作品を中心に、いわゆるウィンナ・ワルツやポルカ、それにオペレッタからのナンバーが特集して演奏された。指揮は現在神奈川フィルの名誉指揮者である現田茂夫で、独唱者には関西二期会の会員で、コロラトゥーラ・ソプラノの日紫喜恵美が迎えられていた。
現田の指揮はいかにもヴェテランらしく、極めて安定度の高いもので、いずれの曲も安心して楽しむことが出来た。その典型は「美しく青きドナウ」で、大阪響の優れた合奏力と相俟って、この上なく完成された好演になっていた。またレハールの名曲「金と銀」も、壮麗なという形容がふさわしいほど、スケールの大きなシンフォニックな表現だった。
日紫喜のソプラノもコロラトゥーラのテクニックが冴えわたり、名曲「春の声」ではハイノートを楽々キックして、華やいだ雰囲気を醸し出し、またレハールの喜歌劇「メリーウィドウ」の「ヴィリアの歌」は、しっとりとノスタルジックにうたい上げ、カールマンの喜歌劇「チャルダシュの女王」の「山こそ我が故郷」は、奔放なジプシー女の野性味を満喫させた。ただJ・シュトラウスの「こうもり」からのアデーレのクープレ、「公爵様、あなたのようなお方は」と、「田舎娘をやるときは」になると、技術的には間然するところもないが、やや声が重くなる傾向が窺え、アデーレにしては立派過ぎるのが難点にもなっていた。そしてアンコールのオッフェンバックの歌劇「ホフマン物語」のオランピアのアリアでは、ぜんまい仕掛けの人形の演技ともども、日紫喜の本領発揮で、実に鮮やかな歌唱ぶりだったといえる。このあたりは現田の指揮も堂に入った物で、ソロを引き立てて余すところがなかった。ただ彼の指揮には安定しているが故の、注文もなくはなかった。それは演奏全体が正攻法で、格調の高い内容になっていた反面、いわゆる遊びの精神には乏しく、「アンネン・ポルカ」など、もっとテンポをルバートさせて、特有のコケットリーを表現するとか、「こうもり」の「チックタック・ポルカ」では、鉄琴と弦のピチカートの和音をずらして、時を刻む音を強調するとか、もう少し演出を加えると、より表現がヴァラエティ豊かになっただろう。そのほかのナンバー、「鍛冶屋のポルカ」、「シャンペン・ポルカ」、ポルカ「狩」などは、大阪響のメンバーが擬音効果を楽しく演奏して、会場を沸かしていて、楽しい雰囲気のコンサートに盛り上がって何よりだった。このほか喜歌劇「こうもり」序曲、ワルツ「南国のバラ」、それに「ピチカート・ポルカ」が演奏されたが、いずれも正統派的な格調の高い演奏を味わうことが出来た。
(01月16日・ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓