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◆大阪シンフォニカー交響楽団第93回定期演奏会
指揮に大山平一郎を迎えたシューマン・プログラム。大山は、ヴァイオリン及びヴィオラ奏者として活躍したのち、ロサンジェルス・フィルのヴィオラ奏者を務めている時に指揮を始め、ロサンジェルス・フィルの副指揮者、サンタフェ室内音楽祭芸術監督、ニューヨーク州カユガ室内オーケストラ音楽監督兼指揮者、九州交響楽団常任指揮者などを務めてきた人で、これまで良い評判を聞いてはいたが、関西での演奏活動がほとんどなかったこともあって、今回初めてその演奏に接することができた。
冒頭に演奏された劇音楽「マンフレッド」の序曲から大山は、これまでの大阪シンフォニカー交響楽団とは異なったと言える、弦楽器の音のふくよかさと艶やかさを印象づけた。そうした音を基調に、序奏部から表情の濃密でメッセージ性の強い表現がなされていたが、音楽はあくまで流麗に流れており、それほど面白みがあるとは思えないこの曲を、かなり劇的に面白く聴かせたことは高く評価できる。
それはメイン・プログラムである交響曲第2番においても言えることで、ここでも弦の鳴りの良さが重要な要因となっていたが、それと共に管打楽器とのバランスも見事なまでに良くて、何かが突出することなく、きわめて良くまとまった響きで演奏されたことが印象的であった。表現としては、何か特別に個性的なことをしているわけでなく、きわめてオーソドックスと言えるが、細部に亘って作品に対する想いと言うか気持ちが行き届いていると思える、豊かで細やかなニュアンスに満ちており、しかもその気持ちが決して暴走することがなく、どこを取っても無理がない音楽の流れとして表現されていたために、大変に魅力的な演奏となった。シューマンのオーケストレーションを、これほど心地よく響かせた演奏は、それほど多くないとも言っておこう。
これらの間に演奏されたピアノ協奏曲では、これまで数々の国際的なコンクールで優秀な成績を収め、先頃の第5回浜松国際ピアノ・コンクールでは最高位(1位なし)を獲得したロシアのアレクサンダー・コブリンが独奏した。コブリンは、まさにコンクール歴が物語るような安定したテクニックの持ち主で、いかにもデリケートそうに弱音を基調とした表現を行ったが、音そのものがかなりきらびやかと言えるもので、しかも基調となっている弱音に対して、強音が必要以上に強くなるため、音楽的なつながりに自然さを欠いた。そうした音は、確かにオーケストラに埋もれることがなく、協奏曲では有利に働くだろうが、シューマンのこの曲には、もう少し重心の低い音が欲しいと感じられた。表現そのものも、達者な運動性が目立ち、よりしっとりとした情感が欲しいところ。まだ24歳の若さだから、これからの充実に期待したい。この協奏曲でのオーケストラは、他の2曲同様に音も表現も間然とするところがなく、決して伴奏に回ることがない積極的な表情で、ソロに足りないものを補っていた。
(6月10日、ザ・シンフォニーホール)
(C)福本 健