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◆大阪シンフォニカー交響楽団第98回定期演奏会
フィンランドを代表する作曲家のシベリウスと言えば、交響詩「フィンランディア」とか交響曲第2番、あるいはヴァイオリン協奏曲などが最も広く知られる作品だろうが、比較的知名度の低い交響曲第7番と第5番を中心に据えた、どちらかと言えば非常に地味なプログラムが組まれた定期である。しかも、交響曲2曲の間には、大阪シンフォニカー交響楽団の委嘱作品である猿谷紀郎の「音の風韻?U」が置かれているから、聴衆を集めるのが難しいのでは、と思えた。しかし客席は、それほど寒々とした様子はなくて、いつもの定期より少し空席が目立つかなという程度。定期は欠かさず聴くという固定客が増えていることの証しだろうか。
それはともかく、山下一史を指揮に迎えて、まず交響曲第7番が演奏されたが、これが予想以上に優れた演奏内容だった。非常に堅実にカッチリとまとめられていること、無理のない音量でていねいに、しかし慎重すぎることもなくスムースに音楽を流していること、楽器間のバランスも良かったことなどが相俟って、清澄感のある響きを生みだし、素直な表現が曲にマッチして、なかなかに楽しめた。時として不足気味という思いを残すことがある低弦も、今回はあまり不満を感じさせなかった。これで全体に、もう少しニュアンスの豊かさがあれば、もっと魅力的な演奏になっただろう。
猿谷作品は、オーボエ(古部賢一)、ギター(鈴木大介)とオーケストラのための曲で、2000年に同じ独奏者を想定して作曲された「音の風韻」から導き出された作品らしい。オーボエとギターの組み合わせ、そしてそれとオーケストラとの絡みは、音量的に、特にギターに関して難しいと思われたのは、オーボエに比べてギターが目立つ、あるいは聞き取れる部分が非常に少なかったからで、ギターは添え物的な印象。しかし曲自体は、繊細でいて美しい響きが魅力的なもので、あまりダイナミックな起伏もないところに武満徹風のデリケートさが感じられた。ただ、せっかくの美しい響きが、オーボエの特殊奏法によるダブルトーンによって著しく損なわれたことが残念に思われる。その美しくない音が効果的な使われ方だったとは思えないのだが。演奏時間は約14分。
最後の交響曲第5番は、第7番を聴いたあとだけに、大いに期待したのだが、結果は今ひとつ。曲に合わせて第7番より強弱の幅をダイナミックにとっているは分かるが、アンサンブルは第7番ほどの緻密さがない。第1楽章などは、音楽の流れが滞り気味なところも多く、楽譜を音に移し替えただけのような無表情さにも不満が残る。それらは楽章が進むほどに少しは改善されたものの、第7番ほどの説得力を持つには至らなかった。
とは言え、今回は2曲のシベリウスで、弦楽器群の充実が著しく、とても美しい音とアンサンブルが聴かれたことが収穫であった。(2月2日・ザ・シンフォニーホール)
(C)福 本 健