第99回定期演奏会2005年03月02日(水)
指揮:寺岡清高 大阪シンフォニカー交響楽団正指揮者
ピアノ:仲道郁代

ベートーヴェン:序曲「献堂式」op.124
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 op.58 
シューベルト:交響曲第9(8)番ハ長調 D.944「ザ・グレイト」

◆楽曲解説

◆大阪シンフォニカー交響楽団第99回定期演奏会
  定期演奏会には2度目の登場となる寺岡清高の指揮で、ベートーヴェンの序曲「献堂式」とピアノ協奏曲第4番(独奏は仲道郁代)、そしてシューベルトの交響曲第9番「ザ・グレイト」が演奏された。
 まず序曲「献堂式」は、祝典的な威勢の良い作品だけに、管楽器及び打楽器の扱い次第で騒々しいか、あるいはダイナミックかといった分かれ道になりそうだが、寺岡はあまり細工を弄さず、ストレートに表現した。ベートーヴェンらしい主題労作もあまりなく、次々と楽想を提示してくる曲だから、上手くまとめるのも難しい曲と言えるが、主要な楽想の持ち味をしっかりと表現して、まずは楽しめる内容となっていた。若々しい力強さが魅力と言って良いだろうが、それは最後のシューベルトにおいても、良い意味で存分に発揮されていた。
 シューマンが『天国的な長さ』と評した長大な交響曲を、寺岡は推進力のある音楽の運びと引き締まった響きで、きわめてすっきりと、それでいてダイナミックな表情も失わずに、ニュアンス豊かに表現した。強音が少しストレートに過ぎて、ベートーヴェン的な力強さになる傾向があって、そのあたりはもう少しふくよかさがあっても、と思われたものの、その強音が汚くも騒々しくもなかった点は、大いに評価して良いだろう。そして何よりも、どこを取っても無意味に音にしていると思えるところがなく、楽員すべてが一体となって積極的に音楽していると感じられる表情が聴かれたのが良い。確かに長い交響曲で、特に第3楽章のスケルツォなどは、その長さを持て余し気味と感じさせるようなところもあったにしても、全体的には雄大さまでには至らないながら、若々しい力が漲った爽快感を覚えさせた。
 その清々しさは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲においても感じられたことで、オーケストラの大変デリケートでニュアンスに満ちた表情は、独奏ピアノを圧倒しそうなほどであった。全体に落ち着いたテンポが取られていたのは、作品にふさわしいと感じられるものであり、独奏の仲道もおおむね堅実な演奏を聴かせたと言える。しかし、ピアノが休んでオーケストラがトゥッティを奏でている時、仲道はオーケストラの方を向いて、一緒に拍子を取りながら、いかにも音楽を感じながら待っているという姿勢を見せながら、やがてピアノが入る時には、それまでの音楽の流れとは無関係に近い形で弾き始めるなど、充実とはほど遠いものを聴かせる。弱音ではコントロール不足からか、発音ミスがあったり、細かいトリルの連続では音の粒の不揃いがあったりと、万全とは言い難い結果に終わった。もちろん、わが国を代表するピアニストのひとりであるだけに、外面的には大した破綻もなく、立派な演奏と言えるのだが、この曲にはもう少し深い味わいが欲しいものである。逆に、それだけ難しい曲だということを実感させたということにもなるだろう。(3月2日・ザ・シンフォニーホール)
(C)福 本  健

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