第101回定期演奏会2005年05月27日(金)
指揮:寺岡清高 当楽団正指揮者
ヴァイオリン:四方恭子
(予定しておりました矢部達哉氏が急病のため、四方恭子氏に変更となりました。)
マーラー:花の章 
ベルク:ヴァイオリン協奏曲 
ブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73
◆シェフからのメッセージ
◆楽曲解説

◆大阪シンフォニカー交響楽団第101回定期演奏会
正指揮者の寺岡清高の指揮で、まず冒頭に演奏されたのはマーラーの「花の章」である。交響曲第1番「巨人」の初稿では、現在の第1楽章と第2楽章の間にに置かれていたもので、のちに削除されたわけだが、その音楽の美しさから、これだけが単独で、あるいは「巨人」の中に組み込まれて演奏されることがある。その演奏は、穏やかで美しい音楽を、まさしく穏やかで美しく奏でたものと言える。曲に合わせて声高になるところがないので、表情も控え目にしたのだろうか、もう少し細やかなニュアンスやマーラーらしい色気のようなものがあれば、とも思うが、総じては端正で難のない演奏だったと言える。
 ベルクのヴァイオリン協奏曲では、当初予定されていた独奏者の矢部達哉が急病とのことで、急遽、四方恭子がピンチヒッターを務めた。プログラムにも矢部の名前が出ていたのだから、本当にピンチヒッターと言えるわけだが、このような難曲を急に引き受けられるところが、四方の実力の証しでもあろう。その四方のヴァイオリンは、音は美しいしテクニックも安定しており、オーケストラと競うというより、共に音楽を作り上げるといった姿勢の演奏で、もう一息オーケストラから突き出て来る押し出しの強さのようなものが欲しいとも感じられたが、むしろ、やや地味な中で内容の濃い音楽をするのが四方の持ち味なのだろう。やたら大きな音で、ただ弾きまくるという演奏よりずっと良いが、それでも協奏曲ではもう少し華が欲しいとも思える。オーケストラは大健闘だったが、無難の域を大きく越えるものでなかった。
 最後はブラームスの交響曲第2番だったが、これも基本的には素直な表現で、寺岡の気力の充実が感じられるような熱の入った演奏。主要な旋律をしっかりと浮き上がらせて、明快に演奏していたが、そのためか他の声部が少しおざなりな印象を受ける。また音が総体的に明るく快活で、ブラームスらしい重心の低い響きに欠ける傾向があった。もちろん、ニ長調という、いわば祝祭的な性格の調性だから、明るい響きになるのは分かるのだが、やや開放的過ぎたのではないだろうか。良く言えば、若々しい情熱が魅力ということになるのだが、響きがまとまるより拡散してしまうことが多いのは考えもの。ちょっと威勢が良すぎたか。前回の定期で聴いた同じブラームスの交響曲第1番のような味わい深さにまで至らなかったのは、寺岡の若さゆえかも知れないが、その若さをストレートに示しながらも、しっかりとコントロールすることを忘れないことも必要だろう。熱意が感じられる演奏の中で、何故かアインザッツの不揃いが散見されたのは、どうしたことだろう。最近のこのオーケストラの充実ぶりからすると、ちょっと不思議な気がするのだが。
(5月27日・ザ・シンフォニーホール)
(C)福 本  健

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