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◆大阪シンフォニカー交響楽団第104回定期演奏会
現在、大阪シンフォニカー交響楽団の首席客演指揮者を務めているチェコのウラディーミル・ヴァーレックは、これまでに何度も当交響楽団の定期演奏会で指揮しており、職人芸とも言える堅実な演奏を聴かせてきたが、今回はこれまで聴いた彼の演奏の中では、最も魅力に乏しいものに終わった。
演奏されたのは、最初にシベリウスの最も広く知られた作品と言える交響詩「フィンランディア」、そしてウラディーミルの息子でヴァイオリニストのマルティン・ヴァーレックを独奏者に迎えたシベリウスのヴァイオリン協奏曲、そして最後にブラームスの交響曲第3番である。まず「フィンランディア」だが、冒頭からブラスの音が揃わないし、その後もアンサンブルに緻密さを欠き、しかも全体にただ元気よく音にしているだけのような表現で、表情にニュアンスが乏しい。決して粗雑な演奏ではないのだが、美しさや味わいがあまり感じられなかった。
ヴァイオリン協奏曲は、ソロのマルティン・ヴァーレックがまったくソリストとしてのテクニックも表現力も持ち合わせていなかったために、わずかも楽しむことができなかった。音は細身で艶はないし、技術的に余裕がないと言うか、楽譜の音符を音にするだけで精一杯の感じ。当然ながら楽想に応じた表情など出せるはずもない。それに加えて指揮者は、ソロが演奏している間はヴァイオリンの音が消されないように、オーケストラを極力抑えて最弱音で演奏させるから、オーケストラまで音楽的な表情を生み出せない。ところがソロが弾いていない時は、それまでとは対照的にコントローしない音量でオーケストラを鳴らし、まったく音楽的にちぐはぐなシベリウスになってしまった。出来の悪い子供ほどかわいいものだと世間で言われることもあるが、およそオーケストラの定期演奏会に独奏者として登場するほどの力量もない息子を、指揮者の権限で登場させたとしたら、これまでのウラディーミル・ヴァーレックに対する評価まで急下降しかねない。
最後のブラームスは、今回の曲目の中では最も無難な仕上がりだったと言えよう。第1楽章は少し不安定なところがあったり、表情が硬いといったこともあったが、楽章が進むほどに調子を上げ、この指揮者らしい、作為もなければ無理を感じさせることもない表現が聴かれた。各パートの音量バランスや、楽器間のパッセージの受け渡し方などでは、必ずしも緻密な仕上がりとは言えないところがあったにしても、まずは作品の持ち味を素直に伝えたと言ってよい。もう少し管楽器群と絃楽器群のバランスに配慮し、響きにふくらみとか広がりがあれば、もっと楽しめただろう。
(11月04日・ザ・シンフォニーホール)
(C)福 本 健