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◆大阪シンフォニカー交響楽団第107回定期演奏会
間もなく首席指揮者就任から1年になろうとする大山平一郎の指揮で、ベートーヴェンの劇音楽「エグモント」序曲、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と交響曲第4番が演奏された。大山は、これまで聴いたところ、ドイツ・オーストリア系の作品をレパートリーの中心に据えているようで、それらを演奏する時に彼独特の熱意のようなものが感じられたのだが、今回のプログラムにおいても、それが一段と強く感じられた。
冒頭のベートーヴェンからして、序奏の少し遅めのテンポによるロマンティックな表情や、主部に入ってからのダイナミックな表現などに、大山の作品に対する強い思い入れを聴き取ることは容易だろう。メリハリの効いた、まさにベートーヴェンらしい音の動きと量感が印象深い。ここで、いつものこのオーケストラとは少し違うと感じたのが、弦楽器群の音量と響きの充実度。これまでよりかなり豊かな音になっていたことである。それは後半の、ブラームスの交響曲においても言える。大山の情熱をそのままストレートに表現したと言えそうな熱い感じを抱かせるブラームスで、身振りの大きい表現がとられていた。それは、ただ表情を大きくしていると言うより、作品への共感度と言うか思いが形となった、とでも言ったらよいだろうか、内から湧き上がるような熱さが演奏を面白くしていたのは確かである。そこから生まれるダイナミックな表現にもかかわらず、基本的に騒々しい音を出さないコントロール力を示したのも良い。それには、先にも述べた弦楽器群の音の充実が少なからず関係しているだろう。こうしたことが相俟って、ベートーヴェン以上にブラームスの交響曲は、情熱的な力演でありながら、十分な説得力を持つものになっていた。
ヴァイオリン協奏曲での独奏に迎えられていたのは、国際的な活躍で知られる竹澤恭子で、さすがにストラディヴァリウスと思わせる美しい音と豊かな音量を聴かせた。まさしくパワフルと言える竹澤のヴァイオリンは、いかなる場面でもオーケストラを突き抜けて聞こえる力強さを持ち、もちろん技術的にもパーフェクトと言える完成度である。そうした押し出しの強いソリスト然とした演奏は、まさに立派としか言いようがない。ただ、それを客観的な評価とすれば、個人的には少し不満がないわけではない。巧くて立派ということを前提で、なおかつ強い表現ばかりでない、例えば翳りを感じさせるような陰影の豊かな表情もこの曲にはあっても良いのではという思いが残るのである。オーケストラは、トゥッティでは音楽的表現を効かせたが、ソロが入ると徹底して伴奏に回ってしまったために、竹澤一人を際立たせる音楽になってしまい、競奏の面白みを楽しむことができなかったのが、少し残念。
(3月10日ザ・シンフォニーホール)(C)福 本 健