第113回定期演奏会2006年11月10日(金)
指揮:大山平一郎(ミュージックアドバイザー・首席指揮者)
ピアノ:児玉桃

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
ベルリオーズ:幻想交響曲
楽曲解説
◆シェフからのメッセージ


◆ミュージックアドヴァイザーで首席指揮者である大山平一郎のタクトで演奏されたのは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番とベルリオーズの幻想交響曲である。
 ベートーヴェンでの独奏者は、大阪生まれで現在はパリに在住し、国際的な活躍を続けている児玉桃で、その実績を裏付けるような堂々たる演奏ぶりである。冒頭、オーケストラのみによる主題提示を、大山はいくらか遅めのテンポで始め、しかも弱音を基調とした穏やかさを感じさせる、角の取れたとでも言えそうなまろやかさを感じさせる表情を聴かせた。それはなかなか新鮮な印象で魅力的だったが、やがて登場したピアノは、オーケストラの導入とは無関係と言えるほど、きわめてメリハリのきつい表現で、それは最後まで一貫して続けられた。児玉の音は硬質ながら決して汚くはないし、オーケストラとのアンサンブルも、少なくとも縦の線が合っているという意味では、まったく文句の付けようがないのだが、音楽的な表情の上では、オーケストラとピアノは互いに我関せず風に、それぞれ自分の思っている方向を向いてしまっており、互いが歩み寄ってひとつの音楽にまとめ上げようとしている風には、とても思えなかった。オーケストラが濃やかに、そして思い入れたっぷりといった様子でニュアンス豊かに演奏しても、ピアノは表面的に派手な効果を狙ったような、必然性に乏しいほどの唐突な音量のアクセントや、とても細心のコントロールで弾いているとも思われないほど粗さを感じさせる急速なパッセージなどで応えているところから、そのような印象が強くなったのだろう。練習の時に何か意見の相違があって、それが一致を見ないまま本番になってしまったような、そんな居心地の悪さが残った。
 後半のベルリオーズは、いかにも大山らしい大変にロマンティックな表情に彩られた演奏である。入念にニュアンス付けされているが、動きのある表現のために細部での細かなズレなどが、初めのうち少し気になったりもしたが、楽章が進むほどにリズムの乗りも良くなり、なかなかに楽しめる演奏へと発展した。絵画的とも言えそうな大山の表現は、第1楽章や第2楽章で少し響きが重いと言うか、安定感があり過ぎて、ちょっとした軽妙さや洒落た雰囲気といったものがあればという思いを残したが、その後、次第にオーケストラのアンサンブルもまとまりを増し、表情も濃くなって、第4楽章や第5楽章などは、ともすれば騒々しくなるところながら、一体感のあるカチッとした響きで、なかなかの迫力ながら少しも音が汚くならないといったコントロール力を示した。こうしたところを聴いていると、最近の充実ぶりも含めて、大阪シンフォニカー交響楽団も、本当に良いオーケストラになったという思いを強くする。
 (11月10日、ザ・シンフォニーホール)
(C)福 本  健

HOME | もどる