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ヴァイオリン:ジェラール・プーレ メシアン:讃歌 サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調Op.61 ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 プーランク:バレエ音楽「牝鹿」組曲 ラヴェル:ボレロ ◆シェフからのメッセージ ★楽曲解説 |
◆《フランス・エスプリの世界へようこそ》と題された今回の定期では、メシアンの「讃歌」、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、プーランクの「牝鹿」組曲、ラヴェルの「ボレロ」というプログラムが組まれていた。指揮に迎えられていたのは、フランス音楽に定評のある矢崎彦太郎で、まさに矢崎ならではのプログラムと言えるが、いささか盛り沢山のきらいがある。きわめて珍しい作品から超有名曲まで盛り沢山で多彩なプログラムを、平凡以下の演奏で聴くと、それこそうんざりさせられるところだが、今回は9時をかなり回った終演ですら、もう終わったのかという感じだったと言えば、その演奏内容も察してもらえよう。
それほど数多くを聴いたわけではないが、これまであまり感心することがなかった矢崎の指揮に、一抹の不安を感じながら臨んだのだが、冒頭のメシアンからして、なかなか気迫のこもった演奏で、動と静の対比も著しいダイナミックな表情も、十分に練り上げられていることを感じさせる。決して技術的にも容易ではないだろう作品の持ち味、と言うか少なくとも面白い曲であることを正しく伝える演奏だった。
サン=サーンスでの独奏者は、フランス・ヴァイオリン界の至宝と評されるジェラール・プーレで、これがまさにフランス的と言える演奏を堪能させた。サン=サーンスの最も広く知られるヴァイオリン協奏曲だけに、様々な演奏に出会う機会は多いが、これほど軽やかな奔放さと粋な雰囲気を持った演奏には滅多に出会えない。最近の若手は、この曲を苦もなく弾き上げる力量を持っている人が多いが、大きな音でカッチリと弾くことはできても、プーレのような雰囲気を表現できる人は少ないだろう。ヴァイオリンの音そのものは必ずしも輝かしいとか豊かな音量というわけではないのだが、勢いのある音楽の流れの中に何とも言えぬ軽妙な味わいがあった。オーケストラも劣らず、なかなかの健闘ぶり。
後半の3曲も、矢崎がその実力を示したと言える演奏で、特にドビュッシーは薫り高い佳演。少しも力みがなくて、音と表情が柔らかく、ニュアンス豊かでいて各パートのバランスも絶妙。それに比べるとプーランクは快活さが勝ちすぎの感があったとは言え、これもリズムが生き生きとして柔軟性に富み、楽しめる内容。さらにもう少し軽妙さと言うか洒落っ気のようなものが加われば、もっと楽しめただろう。最後のラヴェルもなかなかの力演。管楽器のソロに多少の凹凸があったにせよ、総体的には表情豊かな楽しめる演奏だった。少しクレッシェンドが早かったという感じで、最後の和音の迫力は問題ないにしても、その前で最大音量になってしまっていたように思えたのが残念。
それにしてもオーケストラ、とりわけ管楽器奏者には負担の大きいプログラムのように思えるが、すべてをほとんど破綻もなく、むしろ高い水準で演奏し終えたことで、大阪シンフォニカー交響楽団がますます充実してきていることを実感させられた。
(6月22日、ザ・シンフォニーホール)(C)福 本 健