第122回定期演奏会2008年01月25日(金)
指揮:寺岡清高正指揮者)
ピアノ:横山幸雄
コダーイ:ガランタ舞曲
リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
バルトーク:管弦楽のための協奏曲
※シェフからのメッセージ
★楽曲解説

◆寺岡清高の指揮による今回の定期は《ハンガリー万歳!》と題され、ハンガリーの作曲家の作品が並べられた。つまりコダーイの「ガランタ舞曲」、リストのピアノ協奏曲第1番、そしてバルトークの「管弦楽のための協奏曲」である。この中でリストは、確かにハンガリー出身ではあるが、例えば「ハンガリー狂詩曲」の類を除けば、特にハンガリー色を前面に出しているわけではないし、ピアノ協奏曲にしても19世紀のヴィルトゥオーゾ・スタイルを貫いているだけで、ハンガリーの匂いは感じられないので、今回のプログラムからすれば少し異質な感じもしないではないが、全曲がハンガリー色に貫かれるより、少なくとも気分が変わって楽しめるとは言える。
 すべてを聴き終えて、まず感じたのは、あくまで推測だが、作品によって練習量がかなり違っていたのではないか、ということ。少なくともオーケストラにとって、演奏自体が相当難しいとされるバルトークに、おそらく練習時間の多くを取られたのではないか。アンサンブルのまとまり、音の質や量感、確信を感じさせる表現などの点で、最も充実していたのがバルトークだからである。それに比べると、技術的には楽なはずのコダーイが、何となく自信のなさそうな音の出し方や音楽の運び方だった。と言っても大きな破綻があったわけでなく、もう少しアンサンブルが緻密であって欲しいとか、曲の中程で中だるみと言える緊張感の持続不足が感じられたりした程度なのだが。寺岡は端正にまとめるだけでなく、ジプシー風の雰囲気を出すためだろう、なかなか粘り気のある表情で進めていたが、もう少し表情の変化があれば、もっと楽しめただろう。
 その意味では、横山幸雄を独奏に迎えたリストも、表面的には立派な演奏と言えるのだが、この曲を聴いた喜びを感じさせるような味には不足した。わずかに音の抜けがあったにしても、技術的にはなかなかのシャープさだし、あくまで現代的なスマートさに彩られた表情で弾き上げた。ある意味では、これが21世紀の巨匠風なのかも知れないのだが、この難技巧の作品を弾き切っただけでなく、旋律の魅力や構成の特異性と面白さを伝えるには、もう一息何らかの工夫とか情熱が欲しいところである。オーケストラもピアノに応じた無難さであった。
 バルトークも実は曲の開始部分、第1楽章の導入部あたりでは、まだ確信のある表現が聴かれなかったのだが、主部に入り、さらに次の楽章に進むにつれて音や表情に良い意味での緊張感が加わって、なかなかに聴き応えのある演奏となった。少し細部にこだわり過ぎた感もないではないが、この難曲をそれなりに楽しませることができるまでにまとめた点は評価したい。
(01月25日・ザ・シンフォニーホール)
(C)福本 健

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