第127回定期演奏会2008年07月17日(木)
ヴォーン=ウィリアムズ没後50年【ウェストミンスターからの風】

指揮:大友直人
チェロ:横坂 源
ヴォーン=ウィリアムズ  「グリーンスリーヴス」による幻想曲
ショスタコーヴィチ    チェロ協奏曲第1番変ホ長調Op.107
ヴォーン=ウィリアムズ  交響曲第2番「ロンドン交響曲」
☆シェフからのメッセージ
▽曲目解説

◆ ヴォーン=ウィリアムズ没後50年に因んで《ウェストミンスターからの風》と題された今回の定期は、指揮に大友直人が迎えられ、ヴォーン=ウィリアムズの「グリーンスリーヴズによる幻想曲」と交響曲第2番「ロンドン交響曲」、そしてその2曲の間にショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番が演奏された。大友の指揮には最近、数度接する機会があって、いずれも大変に充実した内容であっ
たことから、どちらかと言えば優等生的で可もなければ不可もないといった指揮ぶりから脱皮して、円熟味を加えてきたという印象を持つようになっているのだが、今回もその印象を一段と強くするような優れた演奏内容であった。
 冒頭の「グリーンスリーヴズによる幻想曲」は、4分ほどの短い小品だが、広く知られる旋律を無理なく美しく歌わせ、フルートとハープの彩りも鮮やかで楽しめる内容。
 若手チェリストの中でも最も注目を集めている横坂源を独奏に迎えたショスタコーヴィチも、オーケストラの充実が光った。ホルンのソロを含めて主張すべきことはしっかりと主張し、チェロを立てるべきところは十分デリケートにサポートするなど、柔軟さを見せた。横坂のチェロも、さすがに技術的には高度に安定し、曲を十分に手の内に収めているという印象を与えた。ただ表現は、良く言えば現代風にスマートで、あまり激することがなく、どちらかと言えば淡々とした語り口で弾き進められる。この難曲を淡々とした風情で弾けるということ自体が凄いことなのだということを認めた上で、音そのものにもう少し艶やかさとか輝きが欲しいとか、もう少し熱っぽいと言うか決然と見得を切るような表現も欲しいという思いが頭をよぎったのも事実。例えば第3楽章のカデンツァなど、まさにチェロがテクニックと表現力を見せつける場所なのだが、本当によく弾けていると感心しながら、何か強く感じさせるものが欠けているように思えてならなかった。
 最後の「ロンドン交響曲」は、第1楽章冒頭の序奏から、すでに雰囲気の豊かさを感じさせ、主部に入ってからもダイナミックな表現で、パワフルでありながらデリケートさと柔軟さをも併せ持った豊かな表情が聴かれた。かと言って大友が何か特別ユニークなことをしているわけでなく、むしろごく普通に表現していると思えるのだが、楽想の変化、そしてそれに付随する雰囲気や気分の変化が自然でいながら味わいを醸し出しているのである。それこそ大友の円熟ぶりを示すところだと思う。オーケストラの各パート間での旋律の受け渡しや音量のバランスなども緻密で、こうしたことが、ほとんど標題的なこの曲に上手くマッチして、大変に美しい仕上がりとなっていた。(7月17日・ザ・シンフォニーホール)  
(C)福本 健

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