第130回定期演奏会2008年12月04日(木)
【ラフマニノフ "3"】
指揮:秋山和慶
ピアノ:清水和音
ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第3番ニ短調Op.30
ラフマニノフ  交響曲第3番イ短調Op.44
☆シェフからのメッセージ
▽曲目解説

◆《ラフマニノフ“3”》というタイトルが示すように、今回の定期はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番と交響曲第3番というプログラムで、指揮は大阪シンフォニカー交響楽団に初登場となった秋山和慶である。秋山の指揮にしばしば接する機会があったのは、もうずいぶん前の大阪フィルの指揮者に就いていた頃で、もちろんその後も含めて、様々のオーケストラとの共演で聴いたが、当初からどんな作品でもカッチリとまとめる能力、そしてオーケストラから精緻なアンサンブルと洗練された響きを引き出す能力の持ち主として高く評価してきた。そしてそれは、今回の公演でも如実に示された。
 いかにも秋山らしい、そうした特徴は交響曲第3番に特に良く示された。ラフマニノフだからといって、響きが重々しくなり過ぎることもなく、強音でも無闇にオーケストラを咆哮させることなく、まとまりの良い響きを大阪シンフォニカー交響楽団から導き出して、まさに秋山らしい洗練された響きを楽しむことができた。表現においては、細部までコントロールが行き届いており、表情にも適度に柔軟性があるし、逆に少々は羽目を外したほうがよいのではないかと思えるほどに整えられている。本当にどこにも文句が付けられないような立派な演奏なのだが、不思議なことに、心を揺さぶられるようなとか、鳥肌が立つといったような感動とか感銘につながらないのである。それは秋山の演奏に以前から感じていたことなのだが、いかなる曲のいかなるところでも、常に紳士的でクールな表現をするというのが、彼の持ち味であり、魅力でもあるのだろう。それは分かっていながら、それでももう少し何か心に響くものが欲しいというのが本音である。
 それはピアノ協奏曲においても言えることで、独奏の清水和音と共に、まさに文句が付けられないような仕上がりの演奏となったのだが、本当に悪いところはないのに、何か物足りなさを残した。ひとつには清水の演奏に、今ひとつ熱気のようなものが感じられなかったこともあるだろう。この難曲を気を入れずに弾くことなどできないことは確かだから、清水だって本気で弾いていることは分かるし、確かに良く弾けていたのだが、表情にソリスティックな輝きとかロマンティックな味わいといったものが足りなかったように思われる。カッチリと美しく弾き上げられていたことを承知の上で、あまりにサラサラと音楽が流れ過ぎたという感じなのである。全曲に亘ってではないにしても、もう少し粘り気のある表情があってもよいはずの音楽ではないだろうか。そのようなピアノに対して、当然ながら秋山は強引な音楽作りをするはずもなく、誠実かつ堅実に無理なくサポート役を務めていたので、これもいささかクールなラフマニノフという印象であった。
 とは言え、オーケストラの軽やかで洗練された音と響き、そしてアンサンブルの緻密さは、これまでの大阪シンフォニカー交響楽団とはひと味違ったものだったので、秋山との共演はオーケストラにとって良い経験となったことだろう。12月4日・ザ・シンフォニーホール
(C)福本 健

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