第131回定期演奏会2009年01月16日(金)
【メランコリック・ロシア!】

指揮:外山雄三
ピアノ:若林 顕
モーツァルト   交響曲第25番ト短調K.183(173dB)
ハチャトリアン  ピアノ協奏曲変ニ長調
チャイコフスキー 交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」 
※シェフからのメッセージ
▽曲目解説

◆《メランコリック・ロシア》と題された今回の定期は、モーツァルトの交響曲第25番、ハチャトゥリアンのピアノ協奏曲、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」が、外山雄三の指揮で演奏された。
 コンサートのタイトルとは無関係と思えるモーツァルトは、楽曲の規模に合わせて、かなり刈り込んだ編成で、弦楽器は第1ヴァイオリンから順に6、6、6、4、1と見受けられたが、実際の演奏を聴いた限りでは、バランス的にコントラバスは2本のほうが良かったのではないかという思いが残った。演奏そのものは、このような刈り込んだ編成に合わせてだろうか、表現の身振りもあまり大きくなく、ホルンのミスがいささか目立ったものの、おおむねはカッチリとまとめられていた。ただし、モーツァルトのト短調らしい暗さやロマンティックな情感はほとんどなく、ひたすら誠実かつ端正にまとめられたという感じで、いささか物足りない。
 若林顕を独奏に迎えたハチャトゥリアンは、なかなか実演に接する機会がない作品だが、そうなるのも仕方がないということを実感させるような演奏だった。若林は、持ち前の達者な技巧を駆使して立派にソロの務めを果たしたが、技巧的に難しいということが分かる割に演奏効果が少ないし音楽的魅力にも乏しいのである。オーケストラも、モーツァルトより編成もずっと大きくなり、音量や表情も増したとは言え、やはり書法的な技巧を凝らした難しさにもかかわらず、単調さから逃れ得ないのである。総体的にはかなり良くまとめられた演奏で、どのような作品かということを知らしめたと言って良いのだが、楽しめたかどうかと言うと、楽しめなかったほうに近い。
 最後のチャイコフスキーは、今回のプログラムの中では最もまとまりの良い演奏で、いかにも外山らしい端正な仕上がりとなった。確かに外山の棒では珍しいアインザッツの不揃いなどがいくらか気にはなったが、それほど大きな傷というわけでもなく、3曲の中では最も熱を感じさせた。しかし全体に音の運びの粘度が低く、サラサラと表面的に流れているという印象が強い。ただしメリハリは結構きついのだが。外山はそもそも、あまり音楽に感情を盛り込み過ぎない指揮者で、むしろ客観的と言えるクールさが持ち味のような気がするが、この「悲愴」でも基本的に陰りや憂いがなくて、むしろ明るいと言えるほどの響きや表情が難点だったように思われる。(1月16日・ザ・シンフォニーホール)
   
(C)福本 健

HOME | もどる