第132回定期演奏会2009年02月13日(金)
【ベートーヴェンと世紀末ウィーンの知られざる交響曲 II 】
《2008-2009年度全4回シリーズ》
指揮:寺岡清高(正指揮者)
ベートーヴェン   交響曲第4番変ロ長調Op.60
ロベルト・フックス 交響曲第3番ホ長調Op.79
※シェフからのメッセージ
▽曲目解説

◆ 今回の定期は、正指揮者の寺岡清高が始めた【ベートーヴェンと世紀末ウィーンの知られざる交響曲】シリーズの第2回で、ベートーヴェンの交響曲第4番とロベルト・フックスの交響曲第3番というプログラム。フックスの交響曲は、まさに【知られざる】の名の通り、日本初演ということである。
 まず最初に演奏されたベートーヴェンの第4番は、寺岡の豊かな音楽性と優れたバランス感覚が示された佳演だった。第1楽章冒頭の序奏部から、きわめてデリケートな表情が付けられていたし、主部に入ってからの活力のある音運びも魅力的。第2楽章以降も表情にしなやかさが感じられ、アンサンブルも良くまとまって、細部までニュアンス豊かなところが良い。全く不慣れなフックスの交響曲との組み合わせからくる練習量の不足かも、と思えたのは、わずかに認められたアンサンブルや楽段のつなぎ目のちょっとした乱れといったところだが、音楽が良く流れているので、それほど気になるような傷にはならなかった。そして何より、少しの萎縮も感じさせない表情豊かな弱音を使えること、また主旋律はもとより、それ以外のどの声部もまったくおざなりになることなく、しっかりと表現されていたことが印象的だった。
 1847年生まれで1927年に亡くなったフックスは、13歳年長のブラームスに高く評価されてウィーンで活躍した人で、まさしくブラームスに最も大きな影響を受けたと思われる様々な作品を残しているが、交響曲は生涯に5曲(そのうちの2曲には作品番号が与えられていない)作曲している。今回演奏された第3番は、1906年の作で、その時代を考えるとかなり古風と言える曲になっていると言ってよいだろう。たとえば第2楽章の変奏曲などは、いかにもブラームス風で、斬新さやユニークさはほとんどないし、第4楽章でフーガ風の展開を見せるところなどもいかにも古風である。しかし、交響曲としては教科書的といえるほどに良く書けているとも言える。音型やリズムの特徴などは、それぞれの楽章にふさわしいものになっているし、構造もある意味で模範的と言っても良いだろう。それでも何かしら魅力に乏しく感じられたのは、主題の敷衍の仕方だろうか、あるいはオーケストレーションのやり方だろうか、聴き進むほどにそれぞれの楽章の明確な性格付けが出てこず、どの楽章も同じような気分になってしまっているように感じられた。【知られざる】の理由がこのあたりにあるのかも知れない。しかし演奏自体はベートーヴェンと同様に、なかなか良く練り上げられていて、隅々までニュアンス豊かなものだった。これは寺岡の力量によるところが大きく、少なくとも作品の姿を歪曲することなく伝え得たことを評価したい。(2月13日・ザ・シンフォニーホール)
(C)福本 健

HOME | もどる