第133回定期演奏会2009年03月18日(水)
本邦初演!【Doller交響曲】

指揮:児玉 宏(音楽監督・首席指揮者)
ソプラノ:佐々木典子
エルガー     セレナードホ短調Op.20
R.シュトラウス 4つの最後の歌
アッテルベリ   交響曲第6番ハ長調Op.31[日本初演]

※シェフからのメッセージ
▽曲目解説

◆ このところ定期演奏会では、音楽監督の児玉宏と正指揮者の寺岡清高が競うように、あまり一般には知られていない珍しい交響曲をプログラムに組んでいるが、今回のプログラムにもスウェーデンの作曲家クルト・アッテルベリの交響曲第6番が入っており、この公演が日本初演となる。
 それに先駆けて最初に演奏されたのは、エルガーの弦楽のための「セレナード作品20」、そしてR・シュトラウスの「4つの最後の歌」である。エルガーでは、サイズ的にもあまり大きなスケール感を要しない曲だけに、力みのない音で必要にして十分な音量を引き出しており、そこにしなやかでデリケートな表情を乗せて、美しい演奏を聴かせた。時に感傷的になり過ぎることもある曲で、そうした演奏も悪くないとは思うのだが、児玉は親密さを感じさせながらも、どっぷりと感傷に浸ることなく、すっきりと、しかし十分に愛情深さを感じさせる表現を達成していた。
 シュトラウスでは一転して、と言っても音の出し方が大きく変わったわけでなく、エルガー同様に力みを感じさせないのだが、管楽器などが加わって編成が大きくなったこともあって、艶やかさが増し、それこそシュトラウスの音と響きがしていたこと、そして常に音楽的表情を失うことがなかったことが印象的。それこそ児玉の持てる才能なのだろう。独唱はソプラノの佐々木典子で、声量で圧倒するようなところが少しもなく、かと言ってオーケストラに埋もれてしまうこともなく、十分に良く通る声で安定度高く歌い切った。総じて端正で品のある歌唱と言えるし、テキストに応じたニュアンスや響きの変化も十分。この曲を歌うソプラノは少なくないが、実演ですばらしい歌唱をあまり聴いたことがないくらい難しい曲だと思うのだが、そうした中ではどこにも無理がないという点で、最良に数えても良い。ただ部分的に、特に高音域の強音で少し声が固い印象を受けたところがあり、強さというより響きを膨らませることができていれば、もっと感銘深かったとも思われる。
 アッテルベリは、1928年に書き上げられた交響曲で3楽章制。あまり北欧らしさを感じさせないと思えるほど外面的に派手派手しい曲だが、メロディ・ラインは明快で分かり易く、十分に魅力的でもある。これはシューベルト没後100年を記念した作曲コンクールに応募して優勝した曲で、作曲技法的にも様々な要素が盛り込まれており、ほとんど映画音楽風、あるいは標題に従った交響詩風とも言えるくらい多彩に表情が変化するので、聴いていて面白く、飽きない。とは言え、繰り返し聴き込んでみても、あまり深い味わいを感じるようになるようにも思えない。オーケストラはこんなに多彩な音と表情が出せるんだということを分かり易く披露したような曲とでも言えようか。しかし演奏自体は良く整ったもので、ニュアンスやバランスなど細部にまで配慮した児玉の棒だからこそ、そうしたことが分かったのだろうとも思える。その意味で、十分に作品の特徴や持ち味を伝えた演奏であった。(3月18日・ザ・シンフォニーホール)   
(C)福本 健

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