第140回定期演奏会2009年11月25日(水)
【晩秋の巴里】
指 揮 : 秋山 和慶
ピアノ : 小山 実稚恵
ルーセル     : シンフォニエッタ Op.52
サン=サーンス  : ピアノ協奏曲 第5番 ヘ長調Op.103「エジプト風」
オネゲル     : 交響曲 第3番「典礼風」

※シェフからのメッセージ
▽曲目解説

◆ 《晩秋の巴里》と題された第140回定期は、昨年12月に次いで2度目の定期登場となる秋山和慶の指揮による、19世紀末から20世紀前半に作曲されたフランスの3作品によるプログラムである。このところ毎回のように、当楽団の定期は珍しい作品がプログラムに入っていると書いているように思うが、今回も3曲のうち少なくとも2曲は、滅多に実演に接する機会がないものと言える。
 最初に演奏されたのは、ルーセルが1934年に作曲した弦楽のための「シンフォニエッタ」で、おそらく当楽団にとって初めて演奏と思われるが、予想外と言っては失礼ながら、アンサンブルが良く整い、またなかなかにメリハリの効いた表現で楽しめる内容であった。少しも臆することなく伸びやかに演奏していて、良く鳴っており、その中で声部間のバランスも良く整えられているため、明快で分かり易い表現になっていた。
 続いて小山実稚恵を独奏に迎えて、1896年に作曲されたサン=サーンスの、比較的知名度の高いピアノ協奏曲第5番「エジプト風」が演奏されたが、これも充実した演奏。小山のソロが実に立派で、安定度抜群のテクニック(第1、第2楽章はもちろんのこと、第3楽章のかなり速めのテンポにおいても、少しの乱れも見せず、しかも音の粒立ちもすばらしい)を駆使して、華麗でいてダイナミックな表現を聴かせた。そのピアノに対応してオーケストラも意欲的に表現し、ピアノとオーケストラが一体となってきわめて雰囲気豊かな演奏となった。ずっと以前から、秋山は協奏曲での合わせが上手い指揮者だと認識しているが、今回はとりわけその手腕が光った。
 最後は1946年に作曲されたオネゲルの交響曲第3番「典礼風」で、これも滅多に演奏されない曲だが、なかなか聴きごたえのある演奏であった。3つの楽章それぞれに「怒りの日」「深き淵よりわれ叫びぬ」「我らに平和を与え給え」という「レクイエム」からの表題が掲げられていることから、敬虔なカトリック信者としての心情が込められていると考えられる作品であり、真にこの作品が表現していることを理解できるのはキリスト教徒だけなのかも知れないと思えるほど、宗教的な気分を感じさせる。しかし、有名作曲家による多くの宗教作品と同様に、純粋に音楽作品としても楽しめるはずであり、その意味では今回の秋山の演奏も、彼らしい堅実さの中にそれぞれの楽章の持ち味を十分に表出した内容(特に第2楽章や第3楽章終結部の祈りを感じさせる響きと表情は強く印象づけられた)となっていたことで、なかなかに楽しめた。技術的には決して易しい曲ではないはずだが、そういう曲こそ秋山の得意とするところであり、オーケストラを良くコントロールしてアンサンブルを整え、しかも無表情にならない多彩な表情を聴かせた。特に多声書法での各声部の進退やバランスが大変よく整理されていたことが印象深かった。
(11月25日・ザ・シンフォニーホール)
(C)福本 健

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