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◆ 大阪シンフォニカー交響楽団から大阪交響楽団に改名して最初の定期演奏会が、音楽監督の児玉宏による指揮でなかったのは、ちょっと残念な気もしないではないが、そんな気持ちを吹き飛ばしてくれるような演奏を聴かせてくれたのは、外山雄三である。
【早春のロシアから】と題された今回の定期は、20世紀ロシアの作品でまとめられたもので、ショスタコーヴィッチの交響曲第9番、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番、そしてラフマニノフの「交響的舞曲」という、いささか渋いプログラミングである。しかし、大阪交響楽団のこのところの好調ぶりと、外山の堅実かつ的確な指揮が相俟って充実の演奏となった。
最初のショスタコーヴィッチは、軽快さに乗り過ぎてセカセカした感じになることも少なくない曲だが、外山は軽やかさは保ちながら、決して急ぎ過ぎることもないコントロールによる音運びで、ピリッと締まった演奏となった。管楽器が重要な働きをするところが多い曲だが、その管楽器プレイヤーたちの安定度も高く、また弦楽器群も力みがなくて量感のある美しい響きで対応。全体にリズムもよく弾んでシャープだが、音が円やかで力任せになることがないので、とても美しいという印象を与えてくれた。いつも作品にのめり込まず、客観性を保つ外山らしい、ある種のクールさが作品にマッチしたこともあるだろう。
プロコフィエフでの独奏者は、ドイツ人の父親と日本人の母親を持つ1986年生まれの有希・マヌエラ・ヤンケで、現在もザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学で研鑽中ながら、すでに国際的な演奏活動を展開しているという。彼女のソロは、やや線が細いと言えるものの、音は大変に美しいし、テクニックの安定度も抜群である。この難曲を無理なくカッチリと弾き上げているところに才能を感じるが、表現的には少し優等生的とも言えようか。もう少しソリスティックなアクの強さが欲しいという思いを残したが、この曲から巧みに抒情的な面を引きだしていたところは、今後を期待させるに充分。オーケストラもおおむね堅実であったが、第2楽章では急速なテンポに乗り切れずに、ソロとピッタリとは言えない部分があったところが惜しい。しかしそれをたちまちのうちに修正できるところが、合わせものも得意とする外山ならではと言えるだろう。
最後のラフマニノフも、これまでの曲に劣らず美しく充実した出来映え。ラフマニノフのオーケストラ作品の中でも、個人的には最も魅力を感じない曲のひとつなのだが、今回は重々しさや暗さが少しも強調されずに、きわめて端正に、しかも適度な歌心を伴って美しく演奏されたことで、なかなかに楽しめた。とにかく外山の表現が明快なのである。しかも情熱的過ぎることもなければパワフル過ぎることもない、かと言って感傷的に過ぎることもない、まさに外山の得意とするバランスの良い演奏であったからである。
大阪交響楽団と名称が変わった最初の定期演奏会で、このように充実した演奏を聴いたからには、さらにこの好調ぶりを持続させ、それ以上に一層の充実に務められることを期待しておこう。
(4月9日・ザ・シンフォニーホール)
(C)福本 健