2006年03月12日 第10回東京公演曲目解説
大阪シンフォニカー交響楽団は昨年創立25周年、定期演奏会第100回を迎えた。今回が10回目の東京公演は、ミュージックアドバイザー・首席指揮者の大山平一郎の東京お披露目、ヴァイオリンの竹澤恭子とシンフォニカー響の初共演と話題の多い公演でもある。
■デ=メイ:祝典ファンファーレ(大阪シンフォニカー交響楽団委嘱作品)
昨年4月12日の第100回記念定期演奏会のために作曲、初演された。ヨハン・デ=メイ(1953年〜)はオランダの作曲家。その作品は日本の吹奏楽ファンにも親しまれている。
編成:ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、テューブラ・ベル、シンバル、タムタム。
曲の構成:短く重厚な序奏。続いてホルンの荘厳な主題がトロンボーン、トランペットと引き継がれ総奏で高揚。中間部は穏やかな流れのヒロイックな叙情性。主題が戻り、総奏で強靱壮大に盛り上がって結尾する。約4分。■ブラームス:大学祝典序曲 Op.80
1879年、ブレスラウ(現ポーランド南西部ブロツワフ)の大学からの名誉博士号授与の申し出を快諾したブラームスが、その翌年返礼としてインシュルで作曲した。ブラームスとしてはかなりノーテンキな曲になった。
編成:ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、大太鼓、シンバル、トライアングル、弦楽5部。
曲の構成:創作主題と4つのドイツの学生歌による接続曲風の構成。ヴァイオリンが刻む主題で始まり、「我らは立派な校舎を建てた」「国の親父」「新入生の歌」と続き起伏あるドラマを展開。最後は「かくて我らは喜び楽しむ」の高らかな歓喜で盛大に幕を閉じる。■ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77 ブラームスは、彼より2歳年長で、若い時から公私共に世話になっていた親友の名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムを念頭にこの曲を作曲した。1878年7月初旬に作曲が始められ、8月21日には早くも第1楽章の独奏ヴァイオリン・パートの助言をヨアヒムに求めている。ヨアヒムも積極的に助言を与え、また、作曲が進まず気をもみながらもカデンツァを作曲、翌年1月1日初演の段取りを付けている。当初4楽章制を目指したが、3楽章におさまり78年暮れに完成した。初演はライプツィヒのゲヴァントハウスでブラームスの指揮によって行われた。
編成:独奏ヴァイオリン、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、弦楽5部。
第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ ニ長調 3/4拍子 協奏的ソナタ形式 ヴィオラ、チェロとファゴットが第1主題を柔らかく歌い出す。緊張の頂点で独奏ヴァイオリンがカデンツァ風に陰影の襞を熱情的に聴かせ、その後第1主題をしなやかに歌う。第2主題は独奏ヴァイオリンが弦のピツィカートに乗って伸びやかに提示。内面的な翳りとしなやかな叙情でドラマティックに展開する。カデンツァはヨアヒムの他にアウアー、クライスラー、ブッシュ、ブゾーニなどがある。演奏時間の半分以上を要する重厚な楽章である。
第2楽章 アダージョ ヘ長調 2/4拍子 三部形式 主部はオーボエを中心に管楽器が優しく美しい旋律を奏で、独奏ヴァイオリンが受け継ぐ。まったりとした叙情に浸れる。管の部分の長さがサラサーテを始め多くの批評家の批判をあびた。第3楽章 アレグロ・ジョコーソ・マ・ノン・トロッポ・ヴィヴァーチェ ニ長調 2/4拍子 ロンド形式 ロンド主題はジプシー風の生気に満ちた表情を持っている。独奏ヴァイオリンのヴィルトゥオジティが変化に富んだリズムで華やかに情熱的に躍る。
■ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98
52歳の時に作曲されたこの最後の交響曲はまさに“ブラームス”と言える。古典様式への傾注は、教会旋法やバッハ以来すたれていたシャコンヌへと結実する。また、内面性においても、憂愁、孤独、鬱々たる熱情が最も深く厳しい形で表現されている。温故知新と深い内省。現代に生きる我々がどこかに置き忘れてしまったものを教えてくれる傑作だ。1884年夏に第2楽章から着手され、翌年第3楽章を書き上げて完成した。1885年10月25日、マイニンゲンの領主公宮廷劇場の宮廷楽団第3回予約演奏会で、ブラームスの指揮によって初演された。編成:フルート2(ピッコロ持ち替え1)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、トライアングル、弦楽5部。
第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ ホ短調 2/2拍子 ソナタ形式 ヴァイオリンが切々と訴えるように第1主題を歌い始める。第2主題は強靱でパッショネイトに現れる。展開部は憂愁と内的燃焼がせめぎあい、大きな起伏で思いの丈が吐露される。
第2楽章 アンダンテ・モデラート ホ長調 6/8拍子 展開部を欠くソナタ形式 フリギア旋法という古い教会旋法が、長調ながらひなびた暗さを感じさせる。寂寥の色彩が細密にうつろいたゆたうのが魅力的である。
第3楽章 アレグロ・ジョコーソ ハ長調 2/4拍子 ソナタ形式 一種のスケルツォ。熱狂を叩きつける第1主題。なぐさめとも寂しさともとれる第2主題。熱狂が孤独を際立たせる。トライアングルの響きが印象的。
第4楽章 アレグロ・エネルジコ・エ・パッショナート ホ短調 3/4拍子 シャコンヌ 8小節の主題と31の変奏からなるが、ソナタ形式に見立てることもできる。巧緻を極めた書法と内面性が見事に結実した完成度の高さ。鬱々と燃焼する熱情のうねりは、強靱な意志力に貫かれて雄弁にして感動的である。
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