大阪シンフォニカー交響楽団の〈オーケストラの日〉コンサートにようこそ〜曲目解説

 3月31日は「オーケストラの日」、なぜなら「耳(33)に1番」の日だから!ダイナミックなサウンドから繊細な響きまで、オーケストラの魅力はその多彩な表現力にあります。

 フェルディナン・エロール(1791-1833)は、22作のオペラを残したフランスの作曲家ですが、今ではなかなか彼の作品が演奏されることはありません。主人公の海賊の名前を題名としたオペラ『ザンパ』は、1833年(42歳)に初演された代表作です。この〈序曲〉だけは「懐かしの名曲」と言うべきポピュラーな存在で、ウキウキするような躍動感が、オペラに使われるメロディに乗せて生まれるのです。

 エドワード・エルガー(1857-1934)は近代イギリスの作曲家です。熱烈な愛国者でもあった彼は、長く低迷していたイギリス作曲界の再興に大きく貢献しました。《愛の挨拶》は彼の最も有名な作品でしょう。1888年に作曲、翌年にはオーケストラ用に編曲されました。その名の通り、エルガー自身のフィアンセへの「愛の挨拶」として書かれたのです。幸せに満ちた響きに祝福された結婚でした。

 ヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)は「ワルツ王」と称され、数々のワルツを書いた19世紀末ウィーンの人気作曲家です。同姓同名の父は「ワルツの父」、二人の弟ヨゼフ、エドゥワルトも作曲家であり、シュトラウス一族の音楽で、人々は踊りに明け暮れました。《皇帝円舞曲》は「ウィンナ・ワルツ」としては演奏時間が10分ほどかかる大曲で、1888年(63歳)の作曲です。オーストリア皇帝の即位40周年記念舞踏会のために作曲と言われてきましたが、実際はドイツとオーストリアの同盟を念頭に書かれ、ドイツ皇帝の舞踏会で初演されました。優雅な行進曲が甘いワルツに連なり、壮大なフィナーレを迎えます。

 フランスの作曲家、ジョルジュ・ビゼー(1838-1875)の代表作といえば、オペラ『カルメン』です。1875年に発表されましたが、その時の評判はひどいものでした。ショックが大きかったのか、3ヶ月後にビゼーは36歳の若さでなくなってしまいます。19世紀、スペインのセビリアを舞台に、カルメンという魔性の女をめぐる話です。〈トレアドール(闘牛士)〉は第一幕への前奏曲の前半で、まさに「さあこれからオペラが始まるぞ!」という気分がはじけます。

 ノルウェーの国民的作曲家、エドヴァルド・グリーグ(1843-1907)の音楽は、風土に深く根ざした民族性が持ち味です。透明でひんやりとした抒情味が感じられます。《ノルウェー舞曲》は、言わばグリーグ版「ハンガリー舞曲」もしくは「スラヴ舞曲」で、1881年(38歳)に書いた4曲構成のピアノ連弾曲を、ハンス・ジットという人がオーケストラに編曲しました。《第1番》はこの中で最も激しい曲ですが、ゆったりとした部分のまどろんだメロディも魅力的です。

 ロシアを代表する作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)の音楽は感情の振幅が大きく、力強い勇ましい響きが聴く者の心を捉えてやみません。バレエ音楽は彼の作品で重要なジャンルです。1892年(52才)作曲の《バレエ音楽「くるみ割り人形」》は、少女クララがクリスマス・イブの夜に見た夢の話で、美しいおとぎ話が繰り広げられます。ネズミの王様から救ってもらった御礼に、くるみ割り人形は王子に変身してクララを「お菓子の国の魔法の城」に招くのです。〈小序曲〉はバレエの幕開けを導く愛らしい音楽。〈行進曲〉は第1幕の子供たちの入場です。〈花のワルツ〉はデコレーションクリームの精が華やかに踊るワルツで、同じメロディがくり返されるごとに、音の厚みが増してゆきます。ハープの独奏が大変美しい曲です。

小味渕 彦之


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