第77回定期演奏会の聞き所:
曲目解説
ウェーパー◇歌劇「オイリアンテ」序曲
カール・マリア・フォン・ウェーパー(1786−1826)は、ドイツ国民歌劇の確立に大きな功績を残した作曲家である。歌劇「オイリアンテ」は、13世紀のフランスのロマンスに基づいた台本によって、1823年に完成した作品で、序曲は上演の直前にウィーンで作曲された。初演は同年10月25日、作曲者指揮で行われた。2人の伯爵が美女オイリアンテの行状をめぐって争い、そこに一方の伯爵を恋する悪女が介人するという筋書である。
序曲はアレグロ・マルカート・コン・モルト・フォコ(変ホ長調、4/4拍子)の序奏にはじまるソナタ形式。行進曲風の第1主題は第1幕のアリアに基づき、第2主題(変口長調)は第2幕の恋の歌による。劇中に出る亡霊の場面もラルゴで引用され、展開都は第1主題によるフガートになる。
リヒャルト・シュトラウス◇オーボエと小管弦楽のための協奏曲 二長調AV.144
R.シュトラウス(1864−1949)は、ホルン、ヴァイオリン、ピアノなど、いくつかの楽器のために協奏曲あるいは協奏風作品を作曲した。この曲もそのひとつだが、オーボエのための協奏曲はこれ1曲だけである。1945年、ドイツの敗戦の年、シュトラウスは愛するドイツの崩壊を見ながら、ガルミッシュの山荘に隠遁していた。その頃、ジョン・デ・ランシーと各乗る米軍兵士が訪問したが、彼は兵役に就くまでフィラデルフィア管弦楽団の首席オーボエ奏者であった。そこでオーボエ用の小曲の作曲を依頼しにやってきたのである。シュトラウスは作曲に取りかかったが、同じ年の10月25日に、スイスのバーデンで完成された曲は、小曲どころか、何と23分もかかる力作であった。
初演は1946年2月26日に、フォルクマール・アンドレエ指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団とマルセル・サイエのオーボエ独奏で行われた。楽譜は指揮著と楽団に献呈されたが、1948年の出版に際して、第3楽章で若干の改訂が行われた。
この曲は小管弦楽とあるが、編成はフルート、イングリッシュ・ホルン、クラリネット、ファゴット、ホルン各2と弦5部である。独奏オーボエを目立たせるため、管弦楽にはオーボエが用いられていない。曲は3楽章からなるが、全体に切れ目がない。素材や楽想が関連しており、全体が完全に一体となった作品である。ソナタ形式を採用せず、第2、3楽章にカデンツァが書き込まれている。独奏者の負担が大きい難曲である。
第1楽章 アレグロ・モデラート ニ長調4/4拍子。冒頭の動機が全曲の基本となる。2つの主題をもった自由な3部形式で、中間部はヴィヴァーチェに変わる。
第2楽章 アンダンテ 変ロ長調 3/4拍子.伴奏音型に第1楽章の2つの主題の動機が用いられている。
第3楽章 ヴィヴァーチェ ニ長調 2/4拍子。ロンド風の多彩な終曲である。
シベリウス◇交響曲 第1番 ホ短調 作品39
フィンランドの大作曲家ジャン・シベリウス(1865・1957)は、番号のない「クレルヴォ交響曲」と番号つきの7曲の交響曲を残した。
初期の声楽つきの「クレルヴォ」で名声を高めた彼は、続けていくつかの傑作を発表し、その功績によって1897年、32歳の若さで政府から年金を贈られるようになった。こうして絡済的なゆとりができたシベリウスは、雑用を減らし、1898年に最初の純器楽曲としての本格的な交響曲を書きはじめた。翌99年のはじめに余曲が完成されたが、この曲はきわめてロマン的な発想で民族的な性格をあらわしている。叙事的ともいえる壮大な作品である。
当時のフィンランドは隣国ロシアの領土として、わずかな自治しか許されず、圧倒的なロシア化の政策によって固有の文化が衰退し続けていた。そこで国民は完全な自由と独立を勝ち取ることを日標に、自らの歴史や文化の興隆に専心したが、シベリウスもそうした国民感情を音楽で表現しようとしたのである。
いま私たちが想像もできないほどの強烈なシベリウスヘの期待が、国中にみなぎっていた。
したがってこの「交響曲第1番」は、シベリウスが学んだドイツ・ロマン派の流れを受け継ぎながら、創意にみちた手法でフィンランドの雰囲気を表現している。現在、一般の評価として、まだシベリウスの個性が十分に発揮されていないといわれることがあるが・決してそうではない。すべてがシベリウスならではの音楽である。彼以外にいったいだれがこのような曲を書いただろうか。
第1楽卓アンダンテ・マ・ノン・トロッポ ホ短調 2/2拍子一アレグロ・エネルジコ ト長謂 6/4拍子。悲壮感もある暗い序奏にはじまり、これがアレグロの主部に続く。
ソナタ形式である。第2主題は嬰へ短調でオーボエで出てくる。展開部は目由かつ幻想的といえるが、再現部は提示部より短縮されている。
第2楽章 アンダンテ(マ・ノン・トロッポ・レント)変ホ長調 2/2拍子。きわめて自由な形式で構成されている。冒頭のヴァイオリンとチェロの旋律が、この楽章の主題である。曲は途中から悲劇的に高揚する。
第3楽章 スケルツォ アレグロ ハ長調3/4拍子。情熱的であらあらしい3部形式のスケルツォ。トリオはレント(マ・ノン・トロッポ)と指示され、ホ長調に移る。
第4楽章 フィナーレ(クァジ・ウナ・ファンタジア) アンダンテ ホ短調 2/2拍子一アレグロ・モルト 2/4拍子。やはりシベリウス独自の自由な形式で、アンダンテの序奏から2つの主題をもったアレグロの主部に移る。ソナタ形式ともとれるが、最後はアンダンテで壮麗に高潮して終わる。
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