2006年03月10日 第107回定期演奏会

■シェフからのメッセージ
ブラームスのヴァイオリン協奏曲の解釈について、竹澤さんとは既に2005年の4月に話をした。演奏会のほぼ1年前になる。彼女と私との共演はこの協奏曲で6曲目になる。そろそろお互いの演奏の持って行き方が判ってくる頃だ。解かりやすく説明をすれば、演奏者が本番演奏のときに発する即興的感性を、作曲家の構築した範囲内で如何に上手くさばいて、演奏を芸術と云う“旨い”域に到達できるかが焦点になってくる。
 協奏曲とはいえ、独奏者が独裁者となり、一度演奏が始まると指揮者を含むオーケストラの全員にその協奏曲の解釈に対する絶対的指示を出す事が多々ある。その独奏者の一途な思いが作曲家の真意であり、さらに演奏に反映されるときには良いのだが …当然素材にもよる。ただ単純に塩をふって、炭火で焼いて喰えば最高と云うのもある。とは言っても、どこで採れた塩で、どこからの炭木次第で味は左右する。
 今夜の場合、ブラームスと云う音楽演奏上、極上の素材を、奏者全員で如何に料理していくかである。レシピは複雑だ。明け方4時半には朝食を済まして、早朝の森の中へ散歩に出るのがブラームスの一日の始まりだ。彼は鳥たちが囀る朝空を観て、心地良い爽やかな風が木々の葉の間を吹き抜ける調べを聴き、山稜から昇ってくる太陽の光を肌に受けて曲の構想を練るわけだ。彼の作曲する心は、常に雄大なドイツ・オーストリーの森と云う大きな自然界を連想したところから始まる。
 彼の記した音符を再現するには、どうしても“こく”が味わえないとダメだ。メインになるお肉は…羊かな。ワインはボルドー。いやいや、ハンブルグ生まれでウィーンに長く住んだとなると、そうではないナ。余談になるが彼が偉大な作曲家であることは云うまでもないが、それに匹敵する美食家の名声があった事も広く知られている。
読者のお客様が今晩美味しいブラームスを味わいたいと思われるようでしたら、是非“レストラン・大阪シンフォニカー交響楽団のシェフ達”が作る料理をお試し下さい。既に昨年4月に仕込みましたソースも、ホドよく熟成仕上がっている事と思います。ひょっとしたら、ブラームスも… 。
大阪シンフォニカー交響楽団
ミュージックアドバイザー・首席指揮者
大山 平一郎

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