2010年3月20日第13回東京公演
■シェフからのメッセージ

イギリスの作曲家ウォルトンが、ロンドン・ウェールズ劇場のバレエ上演のために作曲した「賢い乙女たち」は、バッハのカンタータから選ばれた8曲を管弦楽のために編曲した作品です。 タイトルになった「賢い乙女たち」の逸話は、マタイによる福音書の第25章にありますが、福音書の意味、バッハのカンタータの歌詞、作品が創られた1940年のヨーロッパを重ね合わせると、音楽の中で言葉は使われないのですが、一つの確固たる主張が聴こえてくるように思います。
リヒャルト・シュトラウスがフランスの作曲家クープランの音楽を使って作曲した「ディヴェルティメント」も、ミュンヘン国立劇場のバレエ上演のために創られました。 上演の基になった振り付けは1700年代のフランス人振付師のもので、作品の初演は1941年でした。
日本でもヴァイオリン協奏曲で有名なロシアの作曲家グラズノフは、指揮者・教育者としても活躍した国際人で、生涯に9つの交響曲を創っています。馴染み易いメロディーが巧みな管弦楽法を使って織り込まれた彼の交響曲は、ロシア音楽史を理解する上で忘れることの出来ない重要な作品ですが、彼の名前をヨーロッパに定着させた作品は、ペテルブルグのマリンスキー劇場のために作曲されたバレエ音楽「ライモンダ」でした。
…というわけで、今回のキーワードは「バレエ音楽」です。
「変わらないもの」を見失うと、いくら新しいものを追いかけても“新しい”意味が解りませんから、外からの力に押し流されるだけで、自らの意思で選択し、自分の時間を生きていることにはなりません。
大きな変化を迎えている大阪シンフォニカー交響楽団ですが、創立30周年を迎えるに当たり、楽団に係わりを持つ全ての方々と一緒に、もう一度初心に戻って「満足すること」の意味を見つめなおしていきたいと思います。

大阪シンフォニカー交響楽団 音楽監督・首席指揮者
児玉 宏

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