2010年04月09日(金)第144回定期演奏会
■シェフからのメッセージ

外山 雄三


 古典的な交響曲という形式を確立したのはヨーゼフ・ハイドン、その内容を充たしたのはヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、それを更に発展させたのはルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン。20世紀に入って、この歴史を引き継いだヤン・シベリウスの直系ともいえるのがディミートリ・ショスタコーヴィチ。「第9」という重い番号を意識したのか、機知に富んだ軽やかな動きの中に鋭い皮肉も豊かな内容も込められている見事な出来栄え。
 セルゲイ・プロコフィエフほど語法や表現の幅が広い作曲家も珍しいといえるが、特にこのヴァイオリン協奏曲第1番は簡潔な書法ながら明確な主張が眩しいし、独奏ヴァイオリン部分は奏者たちを鼓舞し満足させる。独奏者、有希 マヌエラ・ヤンケは近年ヨーロッパで目覚ましい活躍を続け、各国のオーケストラとの共演も多く、若い優秀なヴァイオリニストたちの間でも特に注目されている。久しぶりの共演は非常に楽しみである。
 セルゲイ・ラフマニノフはしばしば名ピアニストとしての経歴が前面に出される。作曲家としてはチャイコフスキーの亜流などという誤解もされるが、20世紀前半まで作曲と演奏両面で世界的な活躍をした功績は大きい。特に初期の交響詩「死の島」、ピアノ協奏曲第2番や第3番、交響曲第2番などは、これからも長く演奏されると考えられる。最後の大作となったこの「交響舞曲」は全く無駄のない、実に豊かな音楽。ロシアの大地、ロシアの香り、切実な望郷の想いを書きつけたのだろうか。
外山 雄三

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