2008年4月5日《第51回名曲コンサートに寄せて》

 2008年度の『日本で一番有名な!?』大阪シンフォニカー交響楽団名曲コンサートにようこそ!今シーズンも5回の名曲コンサートをお楽しみください。

 歌劇「売られた花嫁」は、世界で一番有名なチェコのオペラです。タイトルだけ見たら、マフィアが登場する人身売買のようですが、ご安心ください。この序曲がはじまった途端に、その誤解は解けるでしょう。これは、チェコの農村を舞台に、春祭りの日に起こった、若い恋人とその親との、古くて新しい物語です。

 モルダウはチェコ西部のボヘミヤ地方を流れるチェコ最大の川、チェコ名ではヴルタヴァです。ヴルタヴァ川の源流は、ドイツやオーストリアとの国境を越えています。この源流の、ほんの少し南に降った雨は、ドナウ川に合流し黒海へ注ぎ、ほんの少し北に降った雨は、ヴルタヴァ川としてプラハを通過し、エルベ川に合流して北海に注ぎます。私は、交響詩「モルダウ」を聞く時、全てを水に流せる日本と、一つの川がいくつもの国を流れるヨーロッパとの、環境に対する根本的な考えの違いを深く感じます。

 今から数十年前、まだLPレコードが全盛の頃、私の友人が一枚のレコードを手に、えらく怒っていました。そのレコードのジャケットには、文字の大きさの順番で、カラヤン、ベルリンフィル、ベートーヴェンと書かれていました。友人が言うには、なんでカラヤンがベートーヴェンより大きいのだ、ということでした。しかし、このようなことはバレエ界ではよく起こります。最も頻繁に上演される演目のひとつである「ドン・キホーテ」の作曲者はレオン・ミンクス、「ジゼル」の作曲者はアドルフ・アダンですが、いずれの作曲者の名前も、一般にはすでに忘れ去られています。そういった中で、燦然と輝きを放ち続けているのがチャイコフスキーです。「白鳥の湖」、通称「はくちょうこ」は、正にバレエの代名詞です。バレエの常ですが、1895年の初演以降多くの演出家により、音楽はもとよりストーリーまで改変されつづけています。初版では王子とオデット(白鳥)が死んでしまう悲劇でしたが、後には、オデットの魔法が解け王子と二人で幸せに暮らすというハッピーエンドの物語になるなど、節操のない改変がまかり通っています。しかし、たとえ悲劇が喜劇になっても、演奏される曲目の順番が変わろうが、「白鳥の湖」は「はくちょうこ」であり、チャイコフスキーは「ちゃいこ」なのです。

 なお『日本で一番有名な!?』は嘘ではありません。 インターネットで「名曲コンサート」と検索すると、グーグルでは、43,700件中、ヤフーでは、なんと5,570,000件中、共に第1位!!なのです。

大阪シンフォニカー交響楽団ITプランナー 佐々木 修