2008年6月15日《第52回名曲コンサートに寄せて》
今日のコンサートは、指揮者の児玉宏さんが大阪シンフォニカー交響楽団の音楽監督に就任して、はじめてのコンサートです。公式な就任記念コンサートは6月20日(金)の第126回定期演奏会ですが、今日はまぎれもなく児玉宏さんと大阪シンフォニカー交響楽団との新しい第一歩と言えるでしょう。その音楽監督の大きな仕事の一つが、プログラミング、つまりコンサートのプログラムを決めることです。それだけに今日のプログラムは注目されます。
ドイツの作曲家カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)の歌劇「オイリアンテ」序曲は、歌劇「魔弾の射手」の陰に隠れた名曲です。オペラ自体は上演される機会はほとんどありませんが、この序曲は比較的よく演奏されます。ウェーバーの父、フランツ・アントン・ウェーバー(1734-1812)は、旅回りの歌劇団を結成して、ドイツ・オーストリアを巡業しました。幼いウェーバーにとって歌劇団そのものが家であり、歌手が家族でした。母のジェネヴェファ・ウェーバー(1764-1798)や、あのW.A.モーツァルト(1756-1791)の妻、コンスタンツェ・ウェーバー(1762-1842)もまた、この歌劇団の歌手でした。コンスタンツェはウェーバーの従姉という関係です。なお、母のジェネヴェファは今、ザルツブルクでコンスタンツェやモーツァルトの父、レオポルド・モーツァルト(1719-1787)と同じお墓に眠っています。妙に狭い世界なのです。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)のピアノ協奏曲第5番「皇帝」は、今日のプログラムでは最もポピュラーな名曲です。第一楽章の主題は、なんとみなさんご存知の「上を向いて歩こう」とそっくりなのです。時代が時代だったら、案外いまごろ「スキヤキ協奏曲」なんて命名されていたかもしれません。ちなみに曲名の「皇帝」はベートーヴェンが付けたものではありません。ドイツのプログラムでは、「英語圏の人は『皇帝』と呼ぶ」と解説されるくらいです。
フランスの作曲家シャルル・グノー(1818-1893)は、歌劇「ファウスト」やアヴェ・マリアの作曲者として有名ですが、今日のお客様の中にも、グノーのミサ曲や合唱曲を実際に歌っている方は、けっこういらっしゃると思います。グノーは、日本でいったら全日本合唱連盟の理事長のような仕事もしていました。当時フランスでは合唱が盛んで、全フランスから選ばれた合唱団がパリに集い、コンクールを開催していました。ところがコンクールの規模が大きくなるにつれて、音楽とは離れた政治や商売が介入したことから、次第に合唱そのものが衰退しました。どこかにありそうな話ですね。グノーの交響曲第2番は、彼がパリで最大の男声合唱団「パリ市民男声合唱団」(L'Orpheon de la Ville de Paris)の指揮者だったころの作品です。
大阪シンフォニカー交響楽団ITプランナー 佐々木 修